「感動する」ことは、私たちの生命力を強くする By - 吉元 由美 公開:2023-07-16 更新:2023-07-16 エッセイ吉元由美連載 Share Post LINE はてな コメント 吉元由美の『ひと・もの・こと』 作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。 たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。 『感動』は生命力を強くする 音楽大学で作詞基礎研究という授業を担当して5年になります。作詞のテクニック、方法についての解説は1、2回の授業で終わるくらいのものなのですが、もっとも大切なことは「何を」「どのように」書くのか、ということです。 ここは知識やメソッドとして伝えられるものではなく、それぞれが自分の力を鍛えていくしかありません。 言葉は、伝えること、伝えたいことがあって初めて言葉になります。歌詞をどのようなメッセージ、物語で構成して伝えるかは、その人の感受性、感性に大いに関わってくるところなのです。 そこで大切なのが『驚くこと』、つまり『感動すること』です。「感動する」ことは、私たちの生命力を強くします。 この世界の、宇宙の生命の仕組みや美しさに驚くことは、自分自身の命に存在に感動することでもあるのです。 心を震わせること。美しいもの、驚くべきものに出会いながら、そして人と人の関係にも心を通わせながら、この世界、人間をどう捉えていくか。その土台はあらゆる分野においても重要なポイントなのです。 先日の授業で、遺伝子の話をしました。遺伝子にはスイッチがある。その遺伝子をONにすることで、人はあらゆる可能性を発揮できる。 筑波大学工学部名誉教授、村上和雄先生の遺伝子についての研究は、自分の可能性をなかなか信じることができない私たちに希望を与えてくれます。 人間の体には60兆もの細胞があり、その細胞の中に3000億の遺伝子情報が入っているそうです。その遺伝子情報の中で実際に働いているのは数パーセントとか。 遺伝子をONにするには、たとえば(自分には才能がない)という『枠』や『制限』を外し、チャレンジすること。やりたいことを、楽しいことをわくわくしながら諦めないでやり続けること。 すると、その分野の遺伝子が目覚め、働き出すそうです。 この村上先生の研究は、私たちの価値観を変えるものです。音楽大学の学生たちは、音楽を学び、音楽で身を立てていこうと頑張っています。頑張りながら、もがいてもいます。 (自分には才能がないのではないか)壁にぶつかるたびに、自問自答していることでしょう。この話をしたとき、教室のエネルギーがパッと変わりました。 みんなの表情が、ふっと明るくなったのです。そして授業の感想のコメントは、とても前向きなものばかりでした。 2022年11月の時点での世界の人口は80億人を超えたそうです。この80億人の遺伝子を一つにまとめたら、どのくらいの大きさになるか。学生たちに予想を立ててもらいました。 それは、米粒ひとつほどの大きさだそうです。80億人の生命活動を司る遺伝子を集めたら米粒ひとつ……驚くべきことです。 人間はゼロから一つの細胞を作り出すことはできない。なのに、すでに80億人の人間が存在し、動物、植物たちがこの地球で生きている。 この驚くべき事実は、学生たちの「伝えたい」「音楽を作りたい」「表現したい」という熱意につながっていくといいなと心から願います。 あたりまえのことなどひとつもないこの世界を楽しむためにも。 いのちを紡ぐ言葉たち かけがえのないこの世界で吉元 由美1,584円(12/22 15:00時点)Amazon楽天市場YahooAmazonの情報を掲載しています ※記事中の写真はすべてイメージ 作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー [文・構成/吉元由美] 吉元由美 作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。 ⇒ 吉元由美オフィシャルサイト ⇒ 吉元由美Facebookページ ⇒ 単行本「大人の結婚」 快挙を成し遂げた狩野英孝、帰国便の搭乗券をよく見ると… 「さすがJAL」の声ホノルルマラソンから帰国する狩野英孝さんに、JALが用意したサプライズとは…。 ロケで出会う人を「お母さん」と呼ぶのは気になる ウイカが決めている呼び方とは?タレントがロケで街中の人を呼ぶ時の「お母さん」「お父さん」に違和感…。ファーストサマーウイカさんが実践している呼び方とは。 Share Post LINE はてな コメント
吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
『感動』は生命力を強くする
音楽大学で作詞基礎研究という授業を担当して5年になります。作詞のテクニック、方法についての解説は1、2回の授業で終わるくらいのものなのですが、もっとも大切なことは「何を」「どのように」書くのか、ということです。
ここは知識やメソッドとして伝えられるものではなく、それぞれが自分の力を鍛えていくしかありません。
言葉は、伝えること、伝えたいことがあって初めて言葉になります。歌詞をどのようなメッセージ、物語で構成して伝えるかは、その人の感受性、感性に大いに関わってくるところなのです。
そこで大切なのが『驚くこと』、つまり『感動すること』です。「感動する」ことは、私たちの生命力を強くします。
この世界の、宇宙の生命の仕組みや美しさに驚くことは、自分自身の命に存在に感動することでもあるのです。
心を震わせること。美しいもの、驚くべきものに出会いながら、そして人と人の関係にも心を通わせながら、この世界、人間をどう捉えていくか。その土台はあらゆる分野においても重要なポイントなのです。
先日の授業で、遺伝子の話をしました。遺伝子にはスイッチがある。その遺伝子をONにすることで、人はあらゆる可能性を発揮できる。
筑波大学工学部名誉教授、村上和雄先生の遺伝子についての研究は、自分の可能性をなかなか信じることができない私たちに希望を与えてくれます。
人間の体には60兆もの細胞があり、その細胞の中に3000億の遺伝子情報が入っているそうです。その遺伝子情報の中で実際に働いているのは数パーセントとか。
遺伝子をONにするには、たとえば(自分には才能がない)という『枠』や『制限』を外し、チャレンジすること。やりたいことを、楽しいことをわくわくしながら諦めないでやり続けること。
すると、その分野の遺伝子が目覚め、働き出すそうです。
この村上先生の研究は、私たちの価値観を変えるものです。音楽大学の学生たちは、音楽を学び、音楽で身を立てていこうと頑張っています。頑張りながら、もがいてもいます。
(自分には才能がないのではないか)壁にぶつかるたびに、自問自答していることでしょう。この話をしたとき、教室のエネルギーがパッと変わりました。
みんなの表情が、ふっと明るくなったのです。そして授業の感想のコメントは、とても前向きなものばかりでした。
2022年11月の時点での世界の人口は80億人を超えたそうです。この80億人の遺伝子を一つにまとめたら、どのくらいの大きさになるか。学生たちに予想を立ててもらいました。
それは、米粒ひとつほどの大きさだそうです。80億人の生命活動を司る遺伝子を集めたら米粒ひとつ……驚くべきことです。
人間はゼロから一つの細胞を作り出すことはできない。なのに、すでに80億人の人間が存在し、動物、植物たちがこの地球で生きている。
この驚くべき事実は、学生たちの「伝えたい」「音楽を作りたい」「表現したい」という熱意につながっていくといいなと心から願います。
あたりまえのことなどひとつもないこの世界を楽しむためにも。
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※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
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⇒ 単行本「大人の結婚」