言葉は自分を守る『結界』だった…丁寧な言葉が放つ『エネルギー』
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贈っていないイチゴが届いた… その偶然に込められたやさしいメッセージ吉元由美の『ひと・もの・こと』 作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。 たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会っ...

テキストがボロボロになるまで日本語を学んだ、アフリカ・マリの青年が教えてくれたこと吉元由美の『ひと・もの・こと』 作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。 たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会っ...






吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
言葉は『結界』であるという話
神社の鳥居の手前で一礼し、一歩神域に足を踏み入れると、空気、気が清まったことを感じます。
清涼な透明感、そこが聖と俗の境目であることを感じる瞬間です。『結界』というのは、『結ぶ』と『界(さかい)』から成り立った言葉で、神道や仏教において神聖な場を作るために置かれたもの。
陰陽道では、異界からの干渉を防ぐための『バリア』として結界が張られるそうです。
アニメなので「バリア〜」と自分の周りにシールドを張るのも、身を守る結界なのです。
自分を守る。自分の心を守る。それは決して心を閉ざすことでも、他人を受け入れないことでもなく、それこそ『自分という神域』を大切にすること。
自分の中には侵されてはならない場所があります。
24歳で作詞家デビューし、音楽、芸能界という世界での仕事が始まりました。
その頃夢中で仕事をしていましたから特にその世界が混沌しているとは思わなかったのですが、「思わなかったこと」が実は良かったのだと後に気づきました。
業界の『混沌』の中に入らなかった…もしかしたら入れてもらえなかったのかもしれませんが、それが自分を見失わずにいられた要因かもしれません。
仕事の上でどんなに親しくなったとしても、程よい距離を大切にすること。
敬意を持って、丁寧な言葉を使うこと。
他人行儀であるとか、壁を作っているという印象を与えることもありますが、それは相手を大切にしていることでもあるのです。
親しくなるということと、ずかずかと相手の中に入っていくというのは、大きな違いがありますね。
人と自分の間に、心地のいい緩衝地帯を持つ。そこにはお互いを尊重する思いやりがあるのです。
丁寧な言葉。挨拶。感謝の言葉。素直な気持ちを表現すること。軽口、悪口、噂話をしないこと。
何か不本意な言葉を投げかけられたとしても、サラッと受け流す。
または、受け入れ難いということを淡々と伝える。
または「ありがとうございます。勉強になりました」と心から言えるように。
これは日常的なことかもしれませんが、これが自分を守る『結界』なのです。
自分を守るとは、こうありたいと思う自分でいるということ。
何を美しいと思い、何を美しくないと思うか、その美意識に対して繊細なセンサーを発揮する。
こう考えていくと、『言葉』は私たちの人生をより高めるための礎であり、エネルギーなのですね。
自分という神域をひと言で言うと、『尊厳』に近いかもしれません。
いのちを紡ぐ言葉たち かけがえのないこの世界で
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作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
※記事中の写真はすべてイメージ
[文/吉元由美 構成/grape編集部]