学力テストの結果が『才能』を決めるのではない いちばん大切なのは?
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さん。先生の日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…様々な『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
いちばん大切なのは「愛する」才能
天賦(てんぷ)の才、天から与えられた優れた才能、ギフテッド(gifted)。ギフテッドとは、特に先天的にずば抜けて優れた能力を持っている人のこと、またその能力のこと。アメリカでは、このような子どもたちに対するギフテッド教育は特別支援の教育施策としてとらえられているそうです。IQテストや学力テストなどで判定されるのに加え、教室での様子、観察からもギフテッドの可能性を見いだしていくというのは、興味深いところです。
何年か前のことですが、カリフォルニアに住む友人に州の教育関係機関から連絡があり、息子に特別な才能を伸ばすサポートプログラムを受講させないかとオファーがあったそうです。当時、息子さんは12、3歳だったでしょうか。確かに、ユニークで天才肌のような感じがしていました。もしかしたら、これもギフテッド教育の一端だったのかもしれません。
いま、公開中のアメリカ映画『gifted』は、数学の天才少女と少女を育てている叔父との心温まる物語です。亡くなった姉の子どもを育てることになったフランクは、ありのまま、子どもらしくメアリーを育てたいと思っています。あまりにも勉強ができるために普通の学校生活を送るのが苦手なメアリーも大好きなフランクとずっと一緒に暮らすことを望んでいます。
でも、まわりの大人は放っておきません。数学者であるメアリーの祖母イブリンは、メアリーの才能を伸ばすために特別な教育を受けさせたい。そこで、この三者をめぐっての葛藤(かっとう)が始まります。
ギフテッドという言葉、特別な意味として天才を指すのですが、天才ではない私たちにも与えられているギフトはたくさんあります。才能のない人は1人もいません。芸術の才能がある人もいれば、ビジネスの才能がある人もいる。料理の得意なことも才能、おいしいお茶を淹れることができるのも才能。人を笑わせることも才能です。そして、これらは持って生まれた才能、ギフテッドなのです。
自分には何の才能もない…と思っている人も多く出会います。そんな思いが、「何をしたらいいのか分からない」につながっているのです。ささやかでもその才能を活かして生活できたらいいのですが、なかなかお金にならないものもあるでしょう。
でも、それが仕事につながらないとしても、日常の中で発揮することはできると思うのです。特別な技能や能力でなくても、「あきらめない」ことも「いつもポジティブである」ことも才能だと思います。
大切な人を、大切なものを大切にすること。そんなあたりまえのことが、時々見えなくなってしまいます。メアリーとフランク、そして2人を見守るまわりの人たちのあたたかさに、思わず誰かを抱きしめたくなりました。人間にとって「愛する」才能が、いちばんのギフテッド。いまこの瞬間から発揮できる才能なのです。
『gifted/ギフテッド』
http://www.foxmovies-jp.com/gifted/
(C)2017 Twentieth Century Fox
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」