夫に誘われた講演会で起きた偶然の一致 『メッセージ』として受け取るのなら?
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
共時性からのメッセージ
何の予定もなかった日曜日のはずでした。予定がないということは、1日原稿書き、仕事をする日になります。
「今日の講演会に一緒に行かない?」
めずらしく、夫に誘われました。週末は講演で地方に行くことが多いのですが、この日は東京での講演だったのです。
夫の講演会を主催したのはホリスティック医療を提唱している団体で、30年ほど前に母からも名前を聞いていた団体でした。病気がちだったので相談に伺ったこともあったようです。そんなこともあり、その日は夫の講演会に同行することにしました。会場は、私が生まれた病院の近くでした。初めて小さな駅に降り立ったとき、私をお腹に宿しながら、何度もこの駅に降り立ったのだなあと、少し泣きそうになりました。
母が亡くなって3年になります。心理学者の河合隼雄先生は、人は心の中で『物語』を作ることによって悲しみを乗り越えることができる、と著書の中で述べています。例えば、亡くなった人を思い出すとき、思わず空を見上げることがあります。亡くなった人の魂が空の上に存在する…これも、私たちが心を慰める『物語』。今いる場所、母が足を運んだことのある場所が、生まれた街にある。夫が誘ってくれたから訪れたこの場所でのささやかな共時性は、夫の講演の間も母と一緒にいるような感じをもたらしてくれました。
人は死んだら無になるのか。それとも魂として次元を超えたところで存在し続けるのか。おそらく、これは人間が永遠に問い続けるテーマでしょう。それは自分が死ぬまでわかりません。ただ、母は私や妹たちにいろいろな形でメッセージを送ってきている気が…するのです。母の好きだった三ツ矢サイダーを突然飲みたくなったり、夢に現れたり。
講演会の後、夫の友人が私を見つけると駆け寄ってきました。
「8年前、お母様にご本をいただきました」
医療の相談会で母と隣同士になり、その時に偶然持っていた夫の著書を渡したようです。30年前だけでない、8年前にもここに来ていたとは。かつて母が訪れ、本を渡したその場所でこのような話を聞くとは、なんという偶然でしょうか。病気を治し、元気になりたかったのでしょう。その母の気持ちが胸に迫ってきました。そしてこの共時性をメッセージとして受け取るのなら、心も身体も大切にしなさい、ということでしょうか。私が生まれた街。そして母が病気を治したいと思って訪れた場所で母がその方にさしあげたのは、『賢者たちのメッセージ』(PHP研究所)という本。宝物のような偶然でした。
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作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」