ハッとさせられた学生の『ひと言』 相手の立場によって態度を変えるのは「人として…」
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
美しさは、生き方に現れる
若い学生の世代からどのように見られているか。私たち大人は、意識したことはあるでしょうか。個人的な印象はともかくも、『大人』という広い意味で考えてみると、意識しなければならないことがあると感じています。
私たち大人は、おそらく『おじさん』『おばさん』『痛い』といったレベルで見られているのだろうと思っていました。高名な人ならば憧れや目標になるのでしょう。『一般の大人たち』(少々乱暴な枠組みですが)に対して若い人たちがどういう印象を持つのか。それは『おじさん』『おばさん』では済まされない、もっとシビアな視点かもしれません。
先日、大学生たちとそんな話をする機会がありました。ある学生の、アルバイトをしている会社の上司についての話から、「人として美しいとはどういうことか」という話題になりました。
その上司の部下に対する態度がとても横柄で、嫌な感じがするというのです。アルバイトに至っては、顎で使うような態度で、その学生は次に何をいわれるのか怖い、というのです。しかし、自分よりも上の人に対して、またクライアントに対してはすこぶる従順で愛想もよく、端で見ていてその落差に人間不信になりそうだと話していました。
このようなタイプの人は、決して少なくはないでしょう。相手の立場によって態度を変える人はいつの時代もいます。
「私たちはまだ学生で、世の中のことをわかっていないかもしれない。でも、どんな理由があってそうなったとしても、私たちの感性はそのような大人は完全にアウトです」
「なぜなら、人として美しくないからです」
横柄な態度をとる人がよろしくないことは、同じ大人でもわかります。私がハッとしたのは、アウトである理由が、いい悪い、好き嫌いでなく「人として美しくない」という点でした。
人として美しくない。これは、いい悪いという判断基準を超えた価値を示しているように思います。美しい、美しくないというのは、その人の美意識によるもので、非常に個人的なものです。個人的ではありますが、その人自身が自分に対する厳しい目を持たなければ、美しい、美しくないという価値基準を持てません。個人の感性による価値判断ではありますが、その底流には「フェアであること」への視点があるように感じました。
「あんな大人にはなりたくない」
「あんな大人になりたい」
学生だったころ、私にもそんな視点があったことを思い出しました。年を重ねても、ひとりの人間として成長するという意識を持つこと、そして生き方を磨くこと。マイナスの印象よりも、プラスの印象を与えていくことが、世の中を明るくすることにつながる。美しさは、生き方に現れる。学生たちとの会話は、改めて新しい視座をもたらしてくれました。
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作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」