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痴漢に遭い「その服装が悪い」といわれた女性 おばあさんの『反論』にスカッとする!

By - grape編集部  公開:  更新:

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※写真はイメージ

北海道で清掃員として働いている、ブロガーの清掃氏さん。仕事についての話や、日常についてブログにつづっています。

2018年11月24日に清掃氏さんが投稿したのは、通勤電車から駅のホームへ降りた時の出来事。

電車から降りた清掃氏さんは、部下の年配女性が警察官と話しているのを目にしました。

痴漢被害者へ「そんな服装なのが悪い!」という酔っ払いに…

警察官の前で腕を組んでいるのは、部下の通称『会長』。

ただならぬ雰囲気を感じた清掃氏さんが「おはようございます、何かトラブルでもあったんですか?」と会長にあいさつすると、会長はこういいました。

「痴漢よ、痴漢!」

会長から飛び出た言葉に、清掃氏さんは驚きました。

「まさか会長が被害に遭ったのだろうか」「そうだったとしたら、自分で撃退するはずだ」…そんな考えが脳内で渦巻いていた、清掃氏さん。

警察官が話しかけてきたため、清掃氏さんは会長の上司であることを説明します。

「そうですか…。こちらのお婆さんがですね、逃げていく痴漢を目撃されたようなのでお話しを伺っておりました」

「会長が…、いや、この人が被害に遭ったんですか?」

「ちょっとあんた、アタシのわけないじゃない! そんな物好きいないわよ! あんた、こんなババアの尻を触りたい?」

「いっ、いや…、俺は絶対に触りたくありませんけど、世の中には色んな人がいますから…」

「何だか棘のある言い方ね…」

「いっ、いや…、じゃあ何て言えばいいんですか…」

「”絶対”が余計なのよ!」

「すっ、すみません…」

「まぁ、いいわ…。被害に遭ったのはね…」

国立大学卒トイレ清掃員 ーより引用

会長の視線を追うと、30代前半と思われる女性が目に映りました。きっと、彼女が痴漢の被害を受けたのでしょう。

警察官は会長からひと通りの事情を聞き、女性にこういいました。

「大丈夫ですか?状況は確認できましたので、私は署へ戻ります。また何か思い出したことがございましたら、署の方にお電話を下さい。こちらからも何かありましたら、ご連絡しますね」

女性が「よろしくお願いいたします」と返し、警察官が現場を後にしようとしたその時…おぼつかない足取りで年配の男性が近付いてきました。

その足取りと、ろれつの回っていないしゃべりかたを見るに、お酒に酔っているのでしょう。男性は警察官に「何があったの?」と声をかけます。

「大丈夫ですか? ちょっと現場の確認をですね…」

「な、な、何だぁ? 殺人事件かぁ?」

「違いますよ。ほらっ、危ないですから、お急ぎでないのならベンチに座って休んで下さい」

「ダ、ダ、ダイジョブだぁ! んんっ?! お姉しゃん、何見てるのぅ? あぁ?」

「……………」

「わ、わ、分かったぞぅ! 痴漢だな、痴漢? 違うかぁ?」

国立大学卒トイレ清掃員 ーより引用

わめき散らす男性の肩を抱き、ベンチへ誘導しようとする警察官を見て、「嘔吐物を処理する俺たち清掃員も大変だが、生身の人間を相手にする警察官や駅務員の気苦労は計り知れない」と同情せざるを得なかった清掃氏さん。

その時、警察官に肩を抱かれながら、男性は信じられないひと言を口にしました。

「ま、ま、待てー!痴漢だろ、痴漢?で、で、でもな、そんな恰好してる姉ちゃんも悪い!高校生や大学生じゃないんだぞぅ」

そんな服装をしているのが悪い」…痴漢をはじめとした性犯罪の被害者が傷付く『セカンドレイプ』です。悲しいことに、こういわれてしまう被害者は少なくないといいます。

清掃氏さん自身も何度も耳にした言葉に、「このひと言はいただけない。俺は痴漢をされるほうにも原因があるという理屈には賛同できない」と怒りを覚えました。

その時、いい返したい気持ちを抑えていた清掃氏さんの隣にいた会長は、男性にこういったのです。

「ちょっとあんた、高校生や大学生じゃなかったら短いスカートを穿いちゃいけないの? ”そんな恰好”をしていたら、触ってもいいってことなの?」

「な、な、何だぁ? お婆しゃん、文句あるのかぁ」

「あるわっ! 大有りよ! あんた、独り者? 奥さんはいるの? どっちでもいいけど、自分の彼女や奥さんがお洒落をしてきたら、それを貶す(けなす)の? 女はね、可愛い服を着た自分を見せたい時があるのよ。”そんな恰好”をしていたら触られるからやめろって言うの?」

「お、お、男はなー、ミニスカートに理性を奪われるんだぁ」

国立大学卒トイレ清掃員 ーより引用

すべての『男性』を一括りにして自分の考えを正当化する男性の言葉に、「そんなことはない。いや、ごく一部そのような男性もいるのかもしれないが、少なくとも俺は理性を奪われたりはしない」とムッとした清掃氏さん。

すると、会長は「アンタ、以前太ももが好きっていってたでしょ。アンタはどうなの?」と話を振ってきました。

「な、な、何だぁ? お兄さん、太ももが好きなのかぁ」

「あっ、いや…、はい…」

「じゃ、じゃ、じゃあ、俺の気持ちを分かってくれるよなぁ?」

「申し訳ありませんが、分からないです。もちろん、綺麗な脚だなぁってチラ見することはありますよ。でも、触りたくはなりません。犯罪じゃないですか…」

「そうよ、犯罪よ! 大体ね、あんた、アタシが短いスカートを穿いていても理性を奪われるの?」

「う、う、奪われましぇーん!」

「失礼ね! さっきも言ったけど、見せたい自分には相手がいるの。あんたに見せたくて穿いているわけじゃないのよ!」

「お、お、お婆しゃん、酷いこと言うなぁ…」

「酷いのはあんたよ。朝からお酒の匂いをプンプンさせながら管(くだ)を巻いて…。その姿を見せたい人がいる? あんただって、デートの時は格好つけて行くでしょ? それを”そんな恰好”だと言われたらどんな気持ちになるの?」

「な、な、泣いちゃいますぅ。うぅっ…、うぅっ…、うげっぷ…」

「ちょっとあんた、こんな所に吐いちゃダメよ! ほらっ、トイレへ行くわよ」

「す、す、すみましぇーん。お婆しゃん、本当は優しいんだなぁ」

「何でもいいから早く行くわよ! 清掃氏さん、肩を貸してあげなさい」

国立大学卒トイレ清掃員 ーより引用

服装は『見せたい相手』のため」といい、被害者を責めた男性を一喝した会長。

男性が反省したのを見ると、被害に遭った女性に優しくこういいました。

「お姉さん、アタシたちはもう行くわ。これから男の人と待ち合わせをしてるんでしょ? その素敵なお洋服、褒めてもらえるといいわね。でも、そんな顔をしていたら台無しよ。相手の人が見えたら、とびっきりの笑顔で手を振ってあげるのよ」

「わっ、分かりました。今日は本当にありがとうございました」

国立大学卒トイレ清掃員 ーより引用

そして、会長は豪快な笑い声を上げながら、女性にこういって去って行ったのでした。

「アタシも若いころを思い出して、気分が乗ってきたわ。明日は短いスカートを穿いて来ようかしら、ガハハハハ」

「そんな服装だから悪い」という言葉のナイフ

「実体が明らかでないにもかかわらず、長い間、多くの人に信じこまれている事柄」という意味で、性犯罪に対する思い込みや偏見は『レイプ(強姦)神話』と呼ばれています。

以前、神奈川県警のウェブサイトに掲載されていた『レイプ神話』の中には、「強姦は、被害者側の挑発的な服装や行動が誘因となる」という項目がありました。

性犯罪の加害者は抵抗しなさそうな人を狙うため、被害者の多くは『派手』『露出的』とは正反対の人がほとんどだといいます。

もちろん、たとえ派手で露出的だとしても、他者が勝手に触れていい理由にはなりません。

ちなみに、文中で会長が「自分は高齢だから狙われない」といった発言をしていますが、『レイプ神話』は若い人だけが性犯罪に遭うことも否定しています。

セカンドレイプを恐れ、中には被害を訴えることができなくなってしまう人もいることでしょう。1人でも多くの人が、しっかりとした認識を持つことが、犯罪撲滅の第一歩ではないでしょうか。


[文・構成/grape編集部]

出典
国立大学卒トイレ清掃員

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