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アナウンサーになりたい…女子学生の願いは叶う?

By - 押阪 忍  公開:  更新:

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こんにちは、フリーアナウンサーの押阪忍です。

ご縁を頂きまして、『美しいことば』『残しておきたい日本語』をテーマに、連載をしております。宜しければ、シニアアナウンサーの『独言』にお付き合いください。

アナウンサーになりたい…

冒頭から私事になりますが、26年にもなる週1のラジオ番組を現在も務めさせて頂き、スタジオ収録時の緊張感や充実感を、お蔭様で現在も味わっております。現役最高齢アナウンサーになりましたが、やはり大きな生甲斐であり、自分なりの勲章とも思っております。

ところで先日、知人から「局アナになりたいという女子学生がいるので、ちょっと会って欲しい…」というリクエストがあり、後日、1時間ばかりその学生に会いました。やや早口で語尾が上り、対話中にヤバイということばが出たり、ふんふんという頷きのことばが、時折漏れたりする今風の学生でした。

女子アナウンサーは、今でも学生の中では希望職業No.1だそうですが、その女子学生も 大学の放送クラブやアナウンス学校に通ったりして、発声、発音の勉強はしているとのことでした。それにしては、「早口で落ち着きのない話し方をするなぁ…」と思いました。当方は、「ハッキリ、ゆっくり、笑顔で話す ! … 鏡やスマホの前で1分間、笑顔で自己紹介の練習をするのもいいかもよ…」などと話しました。

「ラジオとテレビの違いは?」と尋ねられたので、「テレビは『皆さんこんにちは…』と対象は大旨、複数人、ラジオは『Aさん、こんにちは…』と対象は1人です。その1人が全国に何十万人といるのです。1対1の対話です。あなたの声がリスナーの皆さんの聴覚を通して、それぞれの脳裏へ、そして心の中に入って行く訳ですから、感じの良いハッキリとした話し方が必要ですね…」などと話しました。

ふんふんと頷いていたその女子学生は、当方との対話の終盤辺りから、「ハイ…ハイ…」という表情に変り、いい感じになりました。小一時間のご縁とはいえ、何とかアナウンサー試験に合格してくれないものか…と願っております。

<2019年9月>

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フリーアナウンサー 押阪 忍

1958年に現テレビ朝日へ第一期生として入社。東京オリンピックでは、金メダルの女子バレーボール、東洋の魔女の実況を担当。1965年には民放TV初のフリーアナウンサーとなる。以降TVやラジオで活躍し、皇太子殿下のご成婚祝賀式典、東京都庁落成式典等の総合司会も行う。2019年現在、アナウンサー生活61年。
日本に数多くある美しい言葉。それを若者に伝え、しっかりとした『ことば』を使える若者を育てていきたいと思っています。

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