春の香りは 沈丁花から… アナウンサー押阪忍の『美しいことば』 By - 押阪 忍 公開:2017-03-19 更新:2017-04-18 アナウンサー押阪忍連載 Share Post LINE はてな コメント こんにちは、フリーアナウンサーの元祖!?などと言われている押阪忍です。 ご縁を頂きまして、この欄で、お喋りをさせていただくことになりました。お目に留まれば、シニアアナウンサー(花ウンサー)の『独り言』にお付き合いいただければ幸いです。 春の陽光が柔らかく穏やかに、でも時には眩しく感じられるようになりました。梅が咲き、桃が咲き、まもなく桜花の春を迎えます。 先日、ご町内を散策しておりましたら、なんとも言えぬ馥郁(ふくいく)とした香りが、漂ってまいりました。10メートルほどの先のお宅の庭の梢に、枝垂れ桃がありましたので、その匂いかな…と思いましたが、そのお宅に近づくにつれ、匂いの強さが桃とは違います。 足を止めてじっと見ると…判りました。沈丁花です。生け垣に1メートルほどの高さで、一杯の花をつけています。光沢のある丸みを帯びた葉に囲まれて、外側は赤紫、内側は白の四弁の小花が、はじけるように咲いています。 頭上の枝垂れ桃の華やかさはありませんが、この花の香気が、足元からしっかり春の到来を告げてくれています。香木の沈香(じんこう)と香料(スパイス)の丁字(ちょうじ)に似ているので、「沈丁花(じんちょうげ)」と名付けられたそうですが、高校生の頃、沈(ちん)丁花と発音して、先生から笑われたことを、いまだに覚えています。 この花の匂いに、ふと足を止めた方も多いのではないでしょうか。1mほどのドーム形の枝ぶりに、可愛らしい小花を一杯つける沈丁花。実はかつて我が家にもありましたが、植え替えをしましたら、残念…枯れてしまいました。移植を嫌う花木だそうです。 この花も、都市開発やマンションブームで、だんだん見られなくなりましたが、それでも公園や古いお宅の庭先などでは、この時季、その香ぐわしい匂いが、漂っているのではないでしょうか。 春の匂いは『沈丁花』、秋の知らせは『金木犀』。目で見えなくても「香り」で季節を感じられる日本の四季。ホントに素晴らしい国だと思いますねぇ…。 沈丁花 咲きあふれおり 町の春 忍 <2017年3月> フリーアナウンサー 押阪 忍 1958年に現テレビ朝日へ第一期生として入社。1965年には民放テレビ初のフリーアナウンサーとなる。以降テレビやラジオで活躍し、皇太子殿下のご成婚祝賀式典なども行う。2016年現在、アナウンサー生活58年。 日本に数多くある美しい言葉。それを若者に伝え、しっかりとした『ことば』を使える若者を育てていきたいと思っています。 ダルビッシュ有が日本に帰国 向かった先は…?2024年11月12日、メジャーリーグの『サンディエゴ・パドレス』に所属するダルビッシュ有選手が、自身のブログを更新。日本に一時帰国していたことを明かしました。 俳優・火野正平さんが逝去 腰痛の治療に励むも腰部骨折に火野正平さんが亡くなったことが分かりました。ご冥福をお祈りいたします。 Share Post LINE はてな コメント
こんにちは、フリーアナウンサーの元祖!?などと言われている押阪忍です。
ご縁を頂きまして、この欄で、お喋りをさせていただくことになりました。お目に留まれば、シニアアナウンサー(花ウンサー)の『独り言』にお付き合いいただければ幸いです。
春の陽光が柔らかく穏やかに、でも時には眩しく感じられるようになりました。梅が咲き、桃が咲き、まもなく桜花の春を迎えます。
先日、ご町内を散策しておりましたら、なんとも言えぬ馥郁とした香りが、漂ってまいりました。10メートルほどの先のお宅の庭の梢に、枝垂れ桃がありましたので、その匂いかな…と思いましたが、そのお宅に近づくにつれ、匂いの強さが桃とは違います。
足を止めてじっと見ると…判りました。沈丁花です。生け垣に1メートルほどの高さで、一杯の花をつけています。光沢のある丸みを帯びた葉に囲まれて、外側は赤紫、内側は白の四弁の小花が、はじけるように咲いています。
頭上の枝垂れ桃の華やかさはありませんが、この花の香気が、足元からしっかり春の到来を告げてくれています。香木の沈香と香料(スパイス)の丁字に似ているので、「沈丁花」と名付けられたそうですが、高校生の頃、沈丁花と発音して、先生から笑われたことを、いまだに覚えています。
この花の匂いに、ふと足を止めた方も多いのではないでしょうか。1mほどのドーム形の枝ぶりに、可愛らしい小花を一杯つける沈丁花。実はかつて我が家にもありましたが、植え替えをしましたら、残念…枯れてしまいました。移植を嫌う花木だそうです。
この花も、都市開発やマンションブームで、だんだん見られなくなりましたが、それでも公園や古いお宅の庭先などでは、この時季、その香ぐわしい匂いが、漂っているのではないでしょうか。
春の匂いは『沈丁花』、秋の知らせは『金木犀』。目で見えなくても「香り」で季節を感じられる日本の四季。ホントに素晴らしい国だと思いますねぇ…。
沈丁花 咲きあふれおり 町の春 忍
<2017年3月>
フリーアナウンサー 押阪 忍
1958年に現テレビ朝日へ第一期生として入社。1965年には民放テレビ初のフリーアナウンサーとなる。以降テレビやラジオで活躍し、皇太子殿下のご成婚祝賀式典なども行う。2016年現在、アナウンサー生活58年。
日本に数多くある美しい言葉。それを若者に伝え、しっかりとした『ことば』を使える若者を育てていきたいと思っています。