自分に優しく、人に優しく いまこそ自分の手で何ができるのかを考えて
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
『こんなとき』だから伝えられること
三月、いつもより少し早く桜が咲き始めました。そんな中、各地で卒業式が中止、縮小されて行われました。教室で卒業証書を授与するだけの卒業式、生徒たちはもちろんのこと、先生、保護者にとっても残念なことでした。
そんな状況の中、二つの素敵な卒業式のことがワイドショーで紹介されました。一つめは、本年度で統合され廃校となる長野県中野市の小学校、11人の卒業生を送り出す先生のサプライズ企画です。
校庭に並んだジャージ姿の卒業生たちの前には、校長先生が朝礼の時に立つような小さな演台。そこにキーボードが設営されています。先生の「お願いします!」という声をあいずに登場したのは、シンガーソングライターの川嶋あいさんです。
生徒たちへのメッセージとともに、卒業式の定番の歌となった『旅立ちの日に』を歌いました。三月、長野の寒そうな空に歌が流れ渡ります。12歳の子どもたちの心に、この歌はどのように響いたのでしょうか。
二つめは神奈川県厚木市の中学校の学生たちが企画したサプライズ。定年退職をする校長先生に『卒業証書』を、学生たちから感謝をこめて授与するという企画です。
学生たちがこのような企画を立てるということだけでも素敵なことですね。中学生という難しい年代に、大人である先生といい関係を築けたというだけでも素晴らしいと思います。
人を喜ばせること。思いがけないサプライズは愛です。どうやって喜ばせようか、それを考えるだけでもわくわくします。
利他的になることで幸せホルモンのオキシトシンが分泌されるそうです。人間の体は、人に優しくすることで幸せ感を得るというようにプログラムされている。これはすごいことだと思うのです。
私も家族や友人の誕生日にサプライズを企画しました。そして今年の私の誕生日には、友人たちが思いがけないサプライズの会を開いてくれました。友人たちの気持ちを思うたびに、あたたかく豊かさに満たされます。
「私のこの両手で何ができるの?」
平原綾香さんが歌った『Jupiter』の一行です。いま、世界中は厳しい状況にありますが、一人ひとりが自分の手で何ができるのかを考えること、そして、大好きな人との絆を深めていくことが、いまこそ大切なのではないでしょうか。
『こんなとき』だからこそ愛を伝えたい。愛は決して大げさなことではありません。ささやかな親切の源にも愛は宿っています。自分に優しく、人に優しく。求められているのは、とてもシンプルなことなのです。
※記事中の写真はすべてイメージ
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作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」