大切な人が傷付けられた時、どう対応する?少々のことでは傷付かない本当の『戦闘服』とは
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
静かなる戦闘服
日々、忙しくも穏やかに過ごしている私ですが、時に戦闘服を着て出撃したくなることがあります。
どうも心の奥に『成敗スイッチ』というのがあり、事が起きるとそのスイッチに指をかけている私がいます。
大切な人が傷つけられたとき、大切な人の尊厳を軽んじられたときにまずアラームが点滅し、必要があれば出撃します。
こうして書くと気の短い、怒りっぽい性格のような印象を与えるかもしれませんが、ありがたいことにこれまでの出撃回数は片手で数えても余るくらいしかありません。
このスイッチに気づいたのは小学生の頃で、校庭の木に妹の名前に『バカ』と刻まれているのを見つけたときです。
多分、彫刻刀か何かで刻み込んだのでしょうが、私はそれをさらに彫刻刀で削って消しました。
妹のことを傷つけた奴は許せない、という気持ちだったのですが、考えてみるとそれが妹のことという確証はなく、他の子のことだったのかもしれません。
まあ、校庭の木には気の毒なことをしてしまいました。
夫の友人たちと話しているとき、ある人が夫についてとても失礼なことを言ったのです。
悪気はなかっただろうし、軽口のつもりだったのでしょうが、私にしてみるとその発言は夫の尊厳を傷つけるようなものでした。
「今のその言葉に、私は怒りを感じています」
発動しました。静かに、発言者の目を見て、『真顔』で言いました。
いつもゲラゲラ笑っている私に真顔で言われて、その人ははっとしたようでした。『毅然としていること』これが戦闘服なのです。
言う方も勇気がいるのです。言いにくいことを言うのですから。
でも、もしかしたら、笑って流す度量が私には必要だったかもしれません。
ただ、大切な人が軽んじられるのはとても辛いのです。
さて、娘にはどうだったのか。小学生たちは理不尽な小競り合いや喧嘩をするものです。
明らかにひどいなあと思うこともありました。
そんなとき、わざと大袈裟に「ママが先生に話してあげようか?」と言うのです。
すると娘は、「大丈夫、ママが出て行くと大ごとになるから」と、私にストップをかけるのです。
母親のことがよくわかっています。
娘は『成敗スイッチ』ならぬ、『制圧スイッチ』を備えていたのでした。
では、私自身の尊厳を傷つけられるようなことがあったとき…それが、スイッチは入らないのです。
自分のことで戦闘服は着られない。
これまでに何度もプライドが傷つくようなことはありました。
悔しいと思う自分が。悔しいと思うことも。
そのたびに、そのプライドがエゴから生まれたプライドではなく、『純正のプライド』『健全な悔しさ』なのかどうか考えました。
エゴから生まれたプライドであれば、それこそ成敗しなくてはなりません。
悶々としてしまうのですが、そうやって自分を守ってきたように思います。
『毅然としていること』が戦闘服になる。相手に対して毅然としているだけでなく、自分自身に対しても毅然としていること。
『純正のプライド』は、少々のことでは傷つかない。
ちょっとやそっとのことでは動じないのですから…さらーっと静かに流せることこそ『戦闘服』なのかもしれません。
いのちを紡ぐ言葉たち かけがえのないこの世界で
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※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」