雲の上から下を見ていたらママを見つけて「ママがいたー!」と思ってお腹に入ったの
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さん。先生の日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…様々な『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
私たちが生まれてきた理由
胎内記憶を持つ子どもたちのインタビューで綴られた映画「かみさまとのやくそく」を観ました。産婦人科医の池川明先生中部大学の大門正幸教授による、生まれる前の記憶を持つ子どもたちへの聞き取り調査を通して、母と子の絆、生きるということについて考えるきっかけを与えてくれるドキュメンタリー作品です。
「生まれる前はどこにいたの?」
この質問に、胎内記憶を持つ子どもたち全員が同じように答えます。
「お空の上にいて、テレビみたいなものに映ったママを見て、このママがいい!と思って、滑り台にのってママのところへ行ったの」
お空の上に、子どもたちのほかに誰かいたの? という質問にはこう答えています。
「うん、かみさまがいたよ」
かみさまはどんな姿をしてるの?
「大仏みたいな感じ」
かみさまは大仏のような姿をしていた……驚くべきことに子どもたちは同じイメージを共有しているのです。C.ユングのいうところの集合無意識ということで説明できるのかもしれませんが、それにしても興味深いイメージです。
胎内記憶について、娘が三歳の頃に同じ質問をしたことがあります。
「雲の上から下を見ていたらママを見つけて、ママがいたー!と思ってお腹に入ったの。他にもママの子どもに生まれたい子たちがたくさん並んでいたけど、私が一番にならんだの」
娘は、迷いなく、あたりまえのように話してくれました。このような記憶を持つ子どもは特別なのではなく、三、四歳までは多くの子どもたちが記憶しているという話を聞いたことがあります。大きくなるにつれ社会性が高まってくると、その記憶が遠のいていくそうです。ただ質問しなかったから、子どもたちは答えなかっただけなのかもしれません。
子どもたちは親を選んで生まれてくる。ではなぜそのママを選んだのか? という問いに、子どもたちはみんなこう答えます。
「ママを幸せにするために」
さて、子どもたちのこれらの言葉を、大人である私たちはどう捉えていきましょうか。
池川先生は、「これが本当かどうかと科学で証明できないかもしれない。でもそう言っている子どもたちがいるのだから、それはそれで受け入れていいのではないか」と言います。
子どもたちが親を選んで生まれくる。ただ偶然に出会ったのではなく、見えない世界でちゃんと約束をして出会っている。生まれる前から、愛によってつながっていたのです。
私たちも自分の親を選んで生まれてきたのです。そう信じるには厳しい家庭環境にある人もいるし、親を受け入れられない人もいるでしょう。でも、「自分で選んで生まれてきたのだ」と思えたら、人生のすべてが自分の成長の学びのためにあったと思えるかもしれません。人生のシナリオは私たちが書いている。だから受け入れ、乗り越えて、チャレンジする。人生は時に厳しいです。でも、その厳しさの中にある恩恵に気づくことができたら、生き方が変わるのではないでしょうか。
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」
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