「残業代の出ない飲み会は行きません」はアリ? 社労士に聞いた『強制』のライン
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仕事終わりに、上司から「飲みに行くぞ!全員参加な!」と、声をかけられたら、どんな気分になりますか。
喜ぶ同僚たちの姿を横目に「早く家に帰ってゆっくりしたいのに…」「これって、断ったらマズいのかな…」と、ため息をつく人もいるでしょう。
会社の飲み会に、プライベートな時間を削って参加しても、給料が出るわけではありません。
『全員参加』の飲み会に対して、SNSでも「残業代が出ない飲み会には行かない宣言をした」などの投稿がたびたび話題になり、モヤモヤした気持ちを抱いている人も多いようです。
『会社の飲み会』は業務になる?
会社の飲み会への参加は、そもそも従業員の義務なのでしょうか。
大阪府茨木市で、社会保険労務士法人こころ社労士事務所を運営する香川昌彦さんに、話を聞いてみました。
――「全員参加」と言われた飲み会は、必ず参加しないといけないのでしょうか?
大前提として、単なる親睦を目的とした自由参加の飲み会であれば、参加する義務は一切ありません。業務時間外のプライベートな活動ですので、断ってもなんの問題もありません。
しかし、問題となるのは『事実上の強制』があるケースです。
例えば、
・上司が「全員参加だ」と明確に業務として命令している。
・「参加しないと、今後の評価に響くぞ」といった不利益を示唆されている。
・飲み会の中で、業務に関する重要な会議や指示が行われる。
このような場合は、従業員の自由な意思とはいえず、実質的には『業務』だと判断される可能性が高くなります。
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――もし『業務』だと判断された場合、残業代は出るのでしょうか?
参加が強制され、会社の『指揮命令下』にあると認められれば、その飲み会の時間は『労働時間』にあたります。
労働時間である以上、それが法定労働時間を超えるのであれば、会社は従業員に対して残業代(時間外手当)を支払う義務があります。「飲み会だから」という理由で、サービス残業にすることは許されません。
気持ちよく働ける職場を作るには?
自由参加の飲み会であったとしても、「これは業務命令ですか?残業代は出ますか?」と、上司に真正面から切り出すのは、なかなか勇気がいりますよね。
法律やルールで白黒つける前に、私たちにできることはあるのでしょうか。
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会社側は、いわゆる『飲みニケーション』という価値観を押しつけるのではなく、参加はあくまで任意であることを明確に伝え、参加しない人が不利益を被らないような配慮をすることが求められます。
一方で従業員側は、ただ「行きたくない」と拒否するだけでなく、別の形でコミュニケーションを取ろうとする姿勢も大切でしょう。
お互いの価値観を尊重し、歩み寄る姿勢こそが、気持ちよく働ける職場を作っていくのかもしれませんね。
[文・取材/ことのは 構成/grape編集部]
監修・取材協力 香川昌彦
社会保険労務士法人こころ社労士事務所 代表社会保険労務士
大阪府茨木市を拠点に、就業規則の整備や評価制度の構築、障害者雇用や同一労働同一賃金への対応などを通じて、労使がともに豊かになる職場づくりを力強くサポート。
ネットニュース監修や講演実績も豊富でありながら、SNSでは「#ラーメン社労士」として情報発信を行い、親しみやすさも兼ね備えた専門家として信頼を得ている。
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