他人が見る夢に、自分の問題解決のヒントがある? 『集団的無意識』の不思議

By - 吉元 由美  公開:  更新:

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『夢』は魂からのメッセンジャー

三十代、四十代、ふと(私の人生、このままでいいのだろうか)という迷いがよぎることはありませんか? これを心理学者のジェイムズ・ホリスは『ミッドライフ・クライシス』と名づけました。第二次性徴を迎えた思春期の子どもたちが心身共に不安定になるのと同じように、ホルモンの分泌が少しずつ変化しはじめる中年期にも心に迷いが生じる。思春期ほど知られていず、単に『人生の悩み』くらいにしか捉えられませんが、思春期と同じ成長のための通過儀礼なのです。

私も、三十代の半ばまでまさに『ミッドライフ・クライシス』のトンネルの中にいました。(このままでいいのだろうか)という迷いを、いつしか拭いきれなくなっていました。いろいろな勉強をしましたが、最後に自分の中にあった『答え』を知るきっかけとなったのが『夢』でした。それも『ドリーム・ヘルパー』という夢を深めるアプローチでした。

 

『ドリーム・ヘルパー』とは、ひとりの人の問題解決法を探すために、グループで夢を見るという方法です。この時、私の問題を解決するために8人の人が夢を見てくれました。夢見の人たちは、私の問題を知りません。しかし、その人たちが見た夢を照らし合わせてみると、私の問題につながるテーマにつながっているのです。

 

例えばある人は、「暗い井戸の壁を昇ろうとしている」という夢を見ました。またある人の夢は「掌がぱっと見えて、そこに希望線がくっきりと見えた」というもの。またある人は「スピードを出しながら車を運転し、怖いと思っている」という夢でした。そして私が見たのは「日本舞踊の『独楽』をくるくる回りながら踊っている」というものでした。

さあ、このいくつかの夢から導きだされる私の問題解決法とはなんでしょうか。

「放っておいて。私はひとりでいいんだから」

くるくると踊っている私の夢は、自分の心に人を寄せつけない現状を示しています。井戸の壁をよじ上っているのは、自分探し(井戸)の疲弊を、スピードの出た車は自分をコントロールできていないことを示しています。でも、希望はある!夢はそんな勇気づけも与えてくれています。

 

(人生、このままでいいのだろうか)この迷いが、この孤独からくる不自由さにあるとしたら、それを解決するためには誰かと分かち合いながら生きることではないか。委ねることを学ぶこと。それが、私にとって「結婚する」という覚悟になったのです。

 

この『ドリーム・ヘルパー』は、かつてギリシャの医神アスクレピオスの神殿で、病気の治療法を探るために実際に行われていたことです。このように他人の問題解決のための夢を見られるのは、私たちが意識の底でつながっている「集団的無意識」によって、イメージを共有することができるからなのです。『夢』は単なる奇妙キテレツなだけではない。より創造的な選択をするための示唆を与えてくれるメッセンジャーなのです。


[文・構成/吉元由美]

吉元由美

作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
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