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過ぎていく時間も愛しく感じられるように 「心に響く」を積み重ねる大切さ

By - 吉元 由美  公開:  更新:

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吉元由美の『ひと・もの・こと』

作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。

たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。

「心に響く」を積み重ねる

過ぎていった年月を振り返るとき、どんな出来事や感情が思い出されるでしょうか。よかったことよりも、ついついつらかったこと、できなかったことに目を向けて悔やみ、(来年こそ)と思ってしまうものです。悔やんで取り返しがつくことであれば、いくらでも悔やみます。でも、そこから生まれるものは、ただぐるぐると胸の中を逡巡する「どうしようもない思い」ばかりではないでしょうか。

「反省しても、悔やまない」

心の中にこの線引きをくっきりと引いて置くと、逡巡する思いを止めてリセットすることができます。反省は未来に活かせる。でも、後悔は未来を侵食するだけです。

過ぎていったことをハッピーだったことで振り返る。こう意識のスイッチを変えることで、見える景色が違ってきます。私自身、反省することはいくつもありますが、それはそれとして置いておきます。スマートフォンで撮った写真を見直してみると、美しい光景や笑顔の自分がそこにいます。それこそがハッピーの瞬間です。

過ぎていった年月は、そんな瞬間の積み重ね。どれだけ心に響いたか、感動できたかが、ハッピーな時間となるのです。

そんな時間を増やしていくためには、小さなハッピーなことに気づく感性を開いていくことです。よく考えてみると、世界にあたりまえのことなど一つもありません。私たちは体が動くこと、機能がきちんと働くのが普通だと考えがちです。

でも、人間は人間をゼロから創ることはできません。自然をゼロから創造することはできないのです。心臓は休みなく動き、必要なホルモンが必要な時に分泌され、こうして生きることができる。私たちがあたりまえだと思っていたことにこそ、大きな感動があることに気づきます。

私たちの存在、世界が感動で満たされていることに気づけると、日常生活の中に、日々のルーティンのパターンの中で出会う心に響くことに気づきます。疲れたときの一杯のお茶にも、ちょっとした友人の言葉もうれしく思えるようになる。すると、今この瞬間も、過ぎていく時間も愛しく感じられるようになるのです。

88歳になる父と、先日美術展を観に行きました。一つ一つの絵画をじっくりと鑑賞していた父は言いました。

「もう観ることはないと思うから、よく観ておこう」

限られている時間を愛おしむその姿にふっと淋しくなりました。でも、そんな父も、そしてふっと感じた自分の淋しささえも、私にとってかけがえのないものだったのです。

心に響く、心に響かせる。それが、私たちの年月となり、人生という物語になる。今、この瞬間、こうしていられることのありがたさに、心が震えるのです。

※記事中の写真はすべてイメージ

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[文・構成/吉元由美]

吉元由美

作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
吉元由美オフィシャルサイト
吉元由美Facebookページ
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