柔らかい語感で耳に優しく温かく伝わる、日本固有の『大和ことば』
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こんにちは、フリーアナウンサーの押阪忍です。
ご縁を頂きまして、『美しいことば』『残しておきたい日本語』をテーマに、連載をしております。宜しければ、シニアアナウンサーの『独言』にお付き合いください。
大和ことばを使って欲しい
『大和ことば』と改めて言うと、何のことなんだろう と首を捻る若い方が多いのではないでしょうか。私達の先祖から受け継がれてきた日本固有の言葉です。一番すんなり理解できるのが『おもてなし』でしょうかねぇ…。柔らかい語感で日本人の気質さえ表現してくれている 耳に優しく温かく伝わることばですね。
ところが、かつて日本人が 使っていた日常用語や慣用句が、 理解できない若い人達が 増えて来ている現実があるのです。「つとに」「けんもほろろ」「言わずもがな」「いたたまれない」など… これらのことばの意味は お判りかと思いますが…。
サザンカの花
先日、或るテレビ局の制作アルバイトスタッフとの電話でのこと…。当方が「その日は、よんどころない事情があるので、ダメなんです…」と云いましたら、「え?え?誰かを 呼んでくるんですか?」という応えが返って来ました。当方も「え?え?」とびっくりしたのでした。
よんどころないが判らない…その時は何だか「いたたまれない」気持ちでした。大人なら「言わずもがな」判っている筈の日常慣用句なのですが…。無愛想に答える「けんもほろろ」も判らない若い人が多いのでしょうね…。
先年の文化庁の世論調査では「けんもほろろ」は、10代は78%、20代は58%、30代は29%が判らなかったそうです。年長者と話す機会が減ったことや 読書不足がその背景にある、との事。
SNS、AI、IR、FBなど、今は横文字文化の日本ですが、勤勉、実直、親切なイメージの日本人は、やはり先祖伝来の大和言葉は、忘れて欲しくないと痛切に思っています。特に大和撫子と言われる日本の女性には、美しい語感の、例えば、「いらっしゃいませ(し)」を、内外の来訪者に より温かく上品に使って欲しいと願っているのですが…。
<2019年12月>
フリーアナウンサー 押阪 忍
1958年に現テレビ朝日へ第一期生として入社。東京オリンピックでは、金メダルの女子バレーボール、東洋の魔女の実況を担当。1965年には民放TV初のフリーアナウンサーとなる。以降TVやラジオで活躍し、皇太子殿下のご成婚祝賀式典、東京都庁落成式典等の総合司会も行う。2019年現在、アナウンサー生活61年。
日本に数多くある美しい言葉。それを若者に伝え、しっかりとした『ことば』を使える若者を育てていきたいと思っています。