立秋を過ぎても尚、猛暑日続き 『風の音』に四季の移ろいを感じる
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こんにちは、フリーアナウンサーの押阪忍です。
ご縁を頂きまして、『美しいことば』『残しておきたい日本語』をテーマに、連載をしております。宜しければ、シニアアナウンサーの『独言』にお付き合いください。
立秋を過ぎても尚、猛暑日続き
日本列島が甲子園球場の高校野球を応援しています。昨年は大阪桐蔭高校が優勝しましたが、決勝戦まで4連投の秋田金足農業の吉田輝星投手が話題となり、秋田ブームを巻き起こしましたね。
さて今年は、どの高校のどの選手が注目を集めるのでしょうか…。甲子園代表校の地元は目が離せませんよね。汗と笑顔と涙の熱闘甲子園、グランドの上の土は、40度を超えるといいます。選手に熱中症が出ないことを願いながら、熱く応援したいと思います。
ところで、35度以上の猛暑日が珍しくなくなったこの夏ですが、暦の上では今年は、8月8日が『立秋』でした。立秋からは『残暑見舞い』ですが、今年は似つかわしくありませんねぇ…。でも8月8日が立秋となると、朝晩そろそろ、秋の気配を感じてもいい頃ではありますね。
「秋来ぬと 目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる」
古今集に収められている藤原敏行が立秋に詠んだ和歌ですが、「おどろく」というのは、かなり誇張されてはいますが、「気づく」という意味です。涼風の初秋を待つ気持ちをさらりと表現したいい歌だと思います。
情報通信時代、パソコン、スマホに身を縛られている現代ですが、目ではなく耳で知る。『風の音』に四季の移ろいを感じるこの古人の繊細な感覚を、AI時代を迎える今でも どこかに残して置きたいと思うのですが…。余りにも花鳥風月、山川草木に片寄り過ぎているでしょうかねぇ…。
夏草と 見し間に 秋の初風や 青々
<2019年8月>
フリーアナウンサー 押阪 忍
1958年に現テレビ朝日へ第一期生として入社。東京オリンピックでは、金メダルの女子バレーボール、東洋の魔女の実況を担当。1965年には民放TV初のフリーアナウンサーとなる。以降TVやラジオで活躍し、皇太子殿下のご成婚祝賀式典、東京都庁落成式典等の総合司会も行う。2019年現在、アナウンサー生活61年。
日本に数多くある美しい言葉。それを若者に伝え、しっかりとした『ことば』を使える若者を育てていきたいと思っています。