止まらないことばの暴力 それは国会でも
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こんにちは、フリーアナウンサーの押阪忍です。
ご縁を頂きまして、『美しいことば』『残しておきたい日本語』をテーマに、連載をしております。宜しければ、シニアアナウンサーの『独り言』にお付き合いください。
ことばの暴力
アナウンサー押阪忍の『美しいことば』
『パワハラ』『セクハラ』の相次ぐ不祥事がマスコミに取り上げられています。私達の中に差別や偏見がまだ根強く残っており、それが時として『ことば』に現れる。つい先月も、なんと国会でそんなケースがありました。
肺ガン患者の代表が、国会に招聘され、タバコの受動喫煙の害について発言していた際、国会議員の1人が「いい加減にしろ…」という心ないヤジを飛ばしたのです。参考人として招いて置きながら「いい加減にしろ」は失礼極まりない暴言です。自分が喫煙者だとしても、タバコの害は、尚、追及しなければならない現状だということは、誰もが熟知していますよね。
ステージ4のその肺ガン患者は「最初から聴く耳を持っていなかったのでは…」と憤っていました。その議員は、その後、謝罪をしたそうですが、全国12万人近い肺ガン患者は、この傷つくヤジに、これが国民が選んだ国会議員かと、さぞかし憤慨、落胆したことでしょう。
※ 写真はイメージ
このように上から目線の「ことばの暴力」は、至る所でまだ発生しているようです。
大上段に降りかぶる訳ではないのですが、ここで『日本国憲法』を列記してみますね…。
『すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。』
門地というのは出生や家柄です。
一般的に差別でよく問題になるのは、人種や性別、そして身体の不自由な人に対する表現が多いようです。憲法では職業や身体という文字は使われていませんが、注意しなければならない部分だと思います。
次回は「差別感のあることば」を、ご紹介する予定です。どうぞ、お付き合い下さい。
<2018年7月>
フリーアナウンサー 押阪 忍
1958年に現テレビ朝日へ第一期生として入社。1965年には民放TV初のフリーアナウンサーとなる。以降TVやラジオで活躍し、皇太子殿下のご成婚祝賀式典なども行う。2018年現在、アナウンサー生活60年。
日本に数多くある美しい言葉。それを若者に伝え、しっかりとした『ことば』を使える若者を育てていきたいと思っています。