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感性も表現力も唯一無二 世界に一つだけの自分の感性をどんどん開いていこう

By - 吉元 由美  公開:  更新:

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花と女性

吉元由美の『ひと・もの・こと』

作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。

たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。

世界に一つだけの感性を楽しもう

歌詞を書くとき、テーマを決めて物語を考えます。この歌では何を伝えたいか。どんな世界観を伝えたいか。

曲が先にできている場合、音楽の『言葉』『世界観』を頭に叩き込むように、作曲家から送られたデモを、20回、30回聴きこみます。すると私がイメージしていた物語と化学反応を起こし、主人公たちが動き出します。

海を舞台とするならどこの海か。湘南なのか、沖縄の海なのか。ハワイなのか。どんな色で、どんな海岸線か。街であれば、どんな街か。どこの街か。

それもイメージすることで、主人公たちが動きやすくなります。

夕暮れの砂浜

山本達彦さんに書いた『冬へ急ぐ街角』という歌の中には、クリスマスツリーが出てきます。昔の恋人と偶然に出会うという設定です。

私はこのツリーは、銀座4丁目のミキモトのお店の前に飾られる大きなクリスマスツリーをイメージしました。

残念ながら今はもうツリーの飾りはないのですが、こうして場所を設定することで、映画の一場面のように物語が浮かぶのです。

クリスマスツリー

先日、あるIT業界の方から、人をわくわくさせるようなアプリを開発するにはどんな発想力が必要か、ということを聞きました。

例えば何かを食べたとき。何を感じて、どう表現するか。まず、視覚。どんな形状か。そして嗅覚。どんな匂いか。触覚を使う。熱いか冷たいか、温かいか。舌触り。喉越し。そして聴覚。噛んだときの感覚。切る音など。

そして最後に味覚。さらに日本人は味覚の奥に『うまみ』を感じます。お笑いコンビ・麒麟の田村裕さんは著書『ホームレス中学生』の中で、白米を食べたときのことをこのように表現していました。

飲み込むのが勿体無くてずっと噛んでいたら、『味の奥』を感じた……。『味の奥』という表現、感覚が伝わってきて、素晴らしいと思いました。

白ごはんをよそる男性

五感+αを自分の言葉で表現する。

音楽大学の作詞の授業でチョコレートを食べてもらい、その味を言葉で表現するというワークをしたことがあります。

「おいしい」「甘い」はNGワードです。どんなふうに甘いのか。「甘い」という言葉を使わずに表現するのです。

興味深い答えがたくさんある中で、「不穏な感じがする」という表現がありました。これには痺れました。カカオ70%の苦いチョコレートを「不穏な感じ」と捉える。

ここに個人の感性と表現力の面白さがあります。

ノートに書く女性

感性も表現力も唯一無二です。ですからどんどん磨いて掘り下げていくと、目に映る世界の見方が変わります。それには、自分の中のまだ使ったことのない扉を開ける、表現してみることです。

文章を書く。絵を描いてみる。歌ってみる。そして私たちが持って生まれた五感、そして+αを大いに働かせる。

プロになるわけではないのですから、上手い下手、いい悪いはありません。恥ずかしいということもないのです。表現することを怖れず、思いきり扉を開いてほしい。

それは自分の人生だけでなく、社会を明るく楽しく豊かにしていく一助になるのです。世界に一つだけの自分の感性をどんどん開いていきましょう。

いのちを紡ぐ言葉たち かけがえのないこの世界で

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吉元 由美
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※記事中の写真はすべてイメージ


[文・構成/吉元由美]

吉元由美

作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
吉元由美オフィシャルサイト
吉元由美Facebookページ
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