書店は興味を掻き立てられる場所 『知ること』は、新しい扉を開く最初の一歩
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
『知ること』は扉を開くこと
書店へ行くと、いつも軽い絶望感を味わいます。大型の書店へ行けばなおさらのこと、どれだけの数の書籍があるのか想像もつきません。
もちろん、それは恥ずかしいことではないし、書店に足を踏み入れたときの一瞬の『めまい』のようなものです。
この世界には一生かかっても辿り着かない『知』があり、知ることのない『物語』がある。そしてそれは、いまこの瞬間にもどんどん生み出され、その領域を広げ続けている。果てしない……宇宙のようでもあります。
そんな軽い絶望感を味わいつつも、書店は興味を掻き立てられる場所です。散歩をするように書棚から書棚を見て回る。好きな作家の新刊は迷わず手に取る。
まだ知らない知の扉が並んでいるのですから、圧倒されながらも好奇心が湧き出てきます。
タイトルや表紙に惹かれて手に取り、ぱらぱらと見てみる。字が小さかったり(ずいぶん目が怪しくなってきたので、ここがハードル…)、目次ですでに難解そうなら書棚に戻す。
興味をそそられても、「読み越えられない」本が増えてきました。根気が薄れてきたのかもしれません。
東京の六本木ヒルズがある場所に、以前カルチャーの発進地とも言える『六本木WAVE』というビルがありました。
1階から4階があらゆるジャンルの音楽を集めたCDショップ、セディックというレコーディングスタジオ、シネヴィヴァン六本木というミニシアターも入っていました。
当時、歩いて15分ほどのところに住んでいたので、散歩がてらよく新しい音楽を探しに行ったものでした。
それこそ大型レコード店、新しい音楽を探しているうちに1時間、2時間経っていることもありました。
このビルの数軒隣りには、アート系の本が多く集められている青山ブックセンターがあり、WAVE散歩の後に必ず立ち寄ったものです。
このような文化的な刺激は、作詞をする上でも感性を磨く研磨剤となりました。
すでにここにある文化。そしてこれから生まれるアート、そして形成されていく文化。
鑑賞者でありながら、私たちが作り手であることを意識すると、また新しいものの見方、感性が開いていくかもしれません。
『知ること』は、新しい扉を開く最初の一歩。書店に行くたびに軽くでも絶望している場合ではありません……。
※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」