自然に生かされていることを忘れずに… 災害への備えとともに、心を整える
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
森羅万象の中で生かされているということ
日本は、世界の中で最も災害の多い国です。地震、台風、噴火…。歴史を振り返ると、何度も大震災を経験し、生活が破壊され、そして復興を繰り返してきました。何度となく飢饉に襲われ、そのたびに多くの命が失われました。日本人の忍耐強さは、諦めることなく生活を立て直し、何度も災害を乗り越えてきた中で培われたと、何かの本で読んだことがあります。
台風21号が温帯低気圧となり東北から北海道を抜けた翌日、北海道胆振東部地震が起こりました。2018年6月に大阪で起きた震災から3ヶ月も経たないうちに、西日本では土砂災害が起こり、台風がライフラインを破壊し、そして地震によって大変大きな被害が出ました。
なぜ? 災害の多い国だから、異常気象の影響で…。自然が人間に優しくなくなった。雨の降りかたも、激しさを増しました。
北海道の地震のニュースを聞いた時、(ああ、私たちに祈りが足りないのだ)と直感で思いました。誤解を招くような表現かも知れませんが、自然を自分たちの都合のいいように扱い、自然の恩寵に対する感謝も薄れ、唯物的なものばかりを求めてきた、そこに人間の驕りはなかったでしょうか。すべては人間の豊かで便利な生活のためだった… 。私たちが享受してきた豊かさは、この地球の犠牲の上に成り立っていたのではないか、自戒も含め、そう思うのです。あの、地滑りして土がむき出しになった山肌の映像は、傷ついた地球の姿を象徴しているかのようです。
日本は、いにしえより稲作が国民の命を支えてきました。『古事記』に登場する八百万の神々は、まさに自然を司る神々の象徴です。日本人は農耕儀礼を大切にし、常に五穀豊穣を祈りながら生きてきました。例えば、お花見は桜の木に宿る田の神にご馳走を供え、豊穣を願う農耕儀礼でした。人々はそのお下がりをいただく。これがお花見の始まりです。二十四節気、七十二候、雑節、暦は、農耕のタイミングを計るものでした。
日本語には、雨、風、空、雲など、気象に関する単語が多くあります。雨だけでも400あまりと言われています。気象に関する言葉が豊かにあるということは、それだけ人々の関心が高かったことを表しています。自然への感謝と祈り、そして森羅万象の中で生かされているという精神が、日本人の底に脈々に流れていたのです。
日本は、祈りによって守られている国。自然に生かされているという精神が、祈る気持ちにつながります。もちろん、次々と起こる災害の原因が「祈りが足りないから」というわけではありません。しかし、何か、とても大切な精神を私たちは忘れているのではないか…と思わずにはいられない。自分の国を大切に思う心。母語である日本語を大切にすること。自然の一部であり、自然によって生かされていることへの感謝。そして、ただただ世界の平安を祈る。現実的な災害への備えとともに、心を整えていけたらと思います。
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作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」