かつて釜で炊いていたご飯が懐かしい 新米を頬張るときの幸せ
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こんにちは、フリーアナウンサーの押阪忍です。
ご縁を頂きまして、『美しいことば』『残しておきたい日本語』をテーマに、連載をしております。宜しければ、シニアアナウンサーの『独言』にお付き合いください。
新米を味わう喜び
以前、マツタケの話題を書かせていただきましたが、意外や意外、大勢の方から「同感・納得、疎遠で寂しい限り」などという声を頂きました。
縁遠くなったおいしい秋の味覚は「食べた~い!」という欲求が誰にでもあるのですねぇ…。当然、当方にもありますが、今年もご縁は無さそうです。「松と竹」は、拙宅に植えてはありますが…。
さて、今回は、『松茸』のような副食ではなく、主食である新米、お米についてです。お米をおいしく食べるのには、先ずはその炊き方ですよね…。
「初めちょろちょろ、中ぱっぱ、赤子泣いても蓋取るな」、私たち世代の方でしたら、もう馴染みの言葉です。これはかつて、釜で炊くお米の炊き方の段取り、火加減を面白可笑しく教えた言わば教訓なんですね。
釜で炊いたご飯はホントにおいしいのですが、一時、土鍋でお米を炊くことがブームになりましたね。でもすぐまたすたれ、やはり主流の炊飯器に戻りました。
今は誰でも『炊飯器』と言いますが、火を使う釜から電気に変わった昭和の頃は、『電気釜』という呼称で売り出されました。やはりお米を炊くごはんには、従来の『釜』というイメージを残して置きたかったのでしょうね。
ところで、現在の炊飯器の中には、何と、お米の銘柄を、例えば『新潟のコシヒカリ』と指定すると、そのお米に合った炊き方をする炊飯器も出ているようで、「初めちょろちょろ」の昭和人間はホントに驚いております。
釜に入れたお米の水加減を手首で計った釜での炊き方が懐かしいですねぇ。新米の味…、サンマの塩焼きなどで、ふっくらと炊き上ったおいしい新米を頬張る…『瑞穂の国』に生まれた幸せを感じるひとときであります。
<2020年12月>
フリーアナウンサー 押阪 忍
1958年に現テレビ朝日へ第一期生として入社。東京オリンピックでは、金メダルの女子バレーボール、東洋の魔女の実況を担当。1965年には民放TV初のフリーアナウンサーとなる。以降TVやラジオで活躍し、皇太子殿下のご成婚祝賀式典、東京都庁落成式典等の総合司会も行う。2020年現在、アナウンサー生活62年。
日本に数多くある美しい言葉。それを若者に伝え、しっかりとした『ことば』を使える若者を育てていきたいと思っています。