日本人女性が円周率を小数点以下31兆4千億桁までの計算に成功 果てしない数字の旅へ…
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
31兆4千億桁の彼方に
Googleの日本人エンジニアの岩尾エマはるかさんが、円周率を小数点以下31兆4千億桁までの計算に成功し、世界記録を更新。3月14日、『円周率の日』にGoogleが発表しました。岩尾さんは小さい頃から円周率の数字に興味があったとそうです。3.14から先は覚えようもしなかった学生時代でしたが、久しぶりに『円周率』という言葉を目にし、31兆4千億桁という途方もない数字に、静かな感動を覚えてしまいました。
この円周率の計算には「170テラバイトのデータが必要、25のバーチャルマシンを使って121日間」かかったそうです。音楽20万曲が1テラバイトに相当するとのこと、このデータの巨大にも圧倒されます。
このニュースを聞き、よく小さい頃にのぞいた母の三面鏡を思い出しました。左右の鏡を合わせ鏡にすると、理論的には自分の顔が果てしなく続いていることになります。時々そんなふうに自分を映しては、果てしなく続くとはどういうことなのか。終わりがないというのはどういうことなのか。不思議で不思議でたまりませんでした。
それは、宇宙の終わりはどこなのか考えることと同じで、あまりにも自分の感覚と離れすぎた現実に途方に暮れそうになるのです。と同時に、ロマンを感じます。終わりのない果てしない空間に存在している自分、人間たち。小さなことで悩み、争い、傷つけ、傷つき…。
同列に考えることではないかもしれませんが、大きなスケールで考えてみると、また別の観点で物事を捉えられるかもしれません。
31兆4千億桁という円周率。この果てしない数学定数は、今、手にしているコーヒーカップにも潜んでいる。「火星の表面に惑星探査機を着地させるパラシュートのサイズを計算する」ためにも必要である…。私たちの日常は、あらゆる点でとてつもない「果てしなさ」の産物で成り立っているのです。石油も鉱物も…。今、車のタンクに入っているガソリンがどれだけの年数を経て、私の車のタンクにたどり着いたのか考えるだけでも、気が遠くなります…。
空想なのか妄想なのか、とりとめのない流れになりました。ただ言えることは、私たちは、今、ここ、果てしなさの中に存在しているということ。そこに立ったときに何を感じるかは、人それぞれでしょう。新しい視座が開けるかもしれません。
岩尾さんはこれからも終わりのない円周率の計算を続けるそうです。そしてこの31兆4千億桁を数えるには、33万2064年かかるとか。果てしない数字の旅が続きます。
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」