コンビニで泣き崩れる男の子 周囲が無視する中、1人の店員が近寄って?
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2020年8月現在、ウェブメディア『grape』では、エッセイコンテスト『grape Award 2020』を開催しています。
『心に響く』と『心に響いた接客』という2つのテーマから作品を募集。
『grape Award 2020』心に響くエッセイを募集! 今年は2つのテーマから選べる
今回は、応募作品の中から『アルトボイスのファミリーマート』をご紹介します。
「いらっしゃいませ」
快活ではきはきとした大きな声が耳朶(じだ)に響く。アルトボイスの心地良い声のコンビニの女性の店員。
つい、「いらっしゃいました」なんて返してしまいそうになる。
僕は駅前に幾つものコンビニが点在する中、決まってそこのコンビニに足を運ぶ。
理由は簡単。
その女性の接客がアルバイトにも関わらず、際立って光っているからだ。
お馴染みの店内BGMに招かれ、菓子パンをレジに持っていく。品出しをしていた彼女は気付くと小走りでレジに向かい、誰もが心を許すような綺麗な笑顔を見せる。
どうせ、バイトだからなんて適当な笑みではない。「ありあしたー」なんて何を言っているのか分からない挨拶をする人もいるが、彼女は「ありがとうございました」と聞き取りやすい言葉で一言一句しっかりと発言する。
自分自身ムラが目立つタイプではないが、プロとして最初から最後まで表情を崩すことなく、接客をするのは凄い。人間最初から最後まで全力を出すのは難しい。素直に感服する。それほどまでに洗練された接客だ。
ある日、店内では昼時ということもあり、長蛇の列が出来ていた。しかし彼女のアルトボイスの声が響き渡る。
「お待たせして申し訳ない」と後ろのお客さんに対する配慮も忘れていない。最強で最高の接客だ。
結果として、彼女の列だけが一番並んでいたのは皮肉なことかもしれないが、時間が掛かっても彼女のレジの一番顧客満足度が高く、お客さんも望んでいたのだろう。
かくいう自分だってそうなのだから。
支払った代金以上に心に残るものがあるのは彼女だけなのだから。
ある時、コンビニでは親御さんからおつかいを頼まれて品物がどれか分からずに泣き崩れている男の子がいた。
昔の自分に重ねて懐かしさを感じていたくらいで、自分は何も声を掛けられずにいた。大抵の人は誰かに声を掛けられない限り、対応はしないだろう。
そんな時もアルトボイスの彼女は自ら男の子に声を掛け、懇切丁寧に男の子に対応していた。
あんなに涙一杯だった男の子。退店する頃には目的の品物をレジ袋に入れ、笑顔一杯で「ありがとうお姉さん」と手を振っていた。
通い慣れて気付いた事がある。
きっと彼女は接客という枠を飛び越えて自分自身と他人を高め合うために働いているのだ。
だからこそ僕は彼女に心を打たれ尊敬した訳で。自分もそういう人間になれたらいいなあ。ううん、ならなきゃいけないよなと鞭を叩かれている気分にさせられる。
だから僕はまたあのアルトボイスの声を聞きに行く。
grape Award 2020 応募作品
テーマ:『心に響いた接客エッセイ』
タイトル:『アルトボイスのファミリーマート』
作者名:おおちゃん
エッセイコンテスト『grape Award 2020』開催中!
2017年から続く、一般公募による記事コンテスト『grape Award』。
第4回目となる2020年は、例年通りの『心に響く』というテーマと、『心に響いた接客』という2つのテーマから自由に選べます。
今回も、みなさんにとって「誰かに伝えたい」と思う素敵なエピソードをお待ちしております。
『grape Award 2020』詳細はこちら
[構成/grape編集部]