昭和39年の東京オリンピック 女子バレーボール金メダル獲得で大感激、大感涙
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こんにちは、フリーアナウンサーの押阪忍です。
ご縁を頂きまして、『美しいことば』『残しておきたい日本語』をテーマに、連載をしております。宜しければ、シニアアナウンサーの『独言』にお付き合いください。
栄光の金メダル東洋の魔女
東京五輪パラ開幕が目前です。私は64年の東京オリンピックでは、民放代表アナウンサーとして女子バレーボール金メダルのあの東洋の魔女の実況を担当いたしました。
昭和39年(1964年)10月23日、東京オリンピック、女子バレー決勝の日ソ戦は(当時はロシアではなくソビエトとかソ連と呼ぶ)、東京駒沢屋内競技場で行われました。
日本が第1セットを15対11で先取し、チェンジコートの時、正面観客席の中に、大松監督夫人の美智代さんの上品なお顔が目に留まりました。
人目をはばかるように一人静かに、でも精一杯の応援を送っている… そんなお姿でした。
写真提供:押阪忍
日本は15対8で第2セットも奪取、第3セットも果敢な攻撃で、愈々14対13の、マッチポイントを迎えました。会場は割れんばかりの大声援、大喚声、NHKの鈴木文弥アナの『金メダルポイント』が名言となったあのシーンです。
そして遂に日本は、マッチポイントを制し、世界最強といわれたソビエト、ソ連を破ったのです。手脚、猛練習で傷だらけの6人の魔女達は、我先きに大松監督の元へ駆け寄り、大感激の胴上げが始まりました。
主将の河西、宮本、半田、松村、谷田、磯辺、6人の高く掲げた手の上で、鬼と言われた大松監督が両手を拡げて空を舞う… しかしその顔には、鬼の眼に大粒の涙です。6人の魔女も声を挙げて泣いています。
写真提供:押阪忍
そして観客席で白いハンカチを握りしめて声援を送っていた美智代夫人は、観客総立ちの中で同じく立ち上がり両手で拍手… そして白いハンカチは流れ落ちる涙を拭くことになりました。
東洋の魔女金メダル獲得、大感激、大感涙のシーンでありました。
<2021年7月>
フリーアナウンサー 押阪 忍
1958年に現テレビ朝日へ第一期生として入社。東京オリンピックでは、金メダルの女子バレーボール、東洋の魔女の実況を担当。1965年には民放TV初のフリーアナウンサーとなる。以降TVやラジオで活躍し、皇太子殿下のご成婚祝賀式典、東京都庁落成式典等の総合司会も行う。2021年現在、アナウンサー生活63年。
日本に数多くある美しい言葉。それを若者に伝え、しっかりとした『ことば』を使える若者を育てていきたいと思っています。