美空ひばりさんの歌の魅力 生前、名曲の作詞・作曲を担当したお二人は、彼女をこう評した
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こんにちは、フリーアナウンサーの押阪忍です。
ご縁を頂きまして、『美しいことば』『残しておきたい日本語』をテーマに、連載をしております。宜しければ、シニアアナウンサーの『独り言』にお付き合いください。
美空ひばりさんの歌の魅力は…
アナウンサー押阪忍の『美しいことば』
先回は、話し方での「間」のとり方をお話ししましたが、今回は「歌」。昔風に言うと流行歌手、今風ですとボーカリストでしょうか… 歌の世界でも知られざるお話しをご披露しますね。
前回の記事
話し方のコツは『間』 それはビジネスでもプライベートでも
歌い手さんは、新曲が出ると、何回も何回も繰り返し練習して歌詞を覚え、音符通りに正確に歌い込んでゆきます。作詞家や作曲家は、自分の思いやイメージを、その歌詞やメロディに託しているのですから、歌手はその二者の心を、しっかりと聴く人に伝えなければなりません。繰り返し練習を重ね歌い込んでゆく内に、その曲の命や魂が吹き込まれるといわれ、その時こそ その楽曲が、その歌手のものとなるのです。
さて、作詞家として名高い西条八十先生と 名作曲家古賀政男先生に、ご生前 ご一緒する機会がありました。西条先生は、ひばりさんの「越後獅子」を作詞、古賀政男先生は、「悲しい酒」「柔」を作曲されています。そしてお二人は異口同音にこう仰ったのです。「美空ひばりは日本一の大歌手だ。彼女は歌詞の心を更に拡げ、しかも音符と音符の間を歌う…」 と。
復活公演で熱唱する美空ひばり =東京ドーム
美空ひばりさんは、歌謡界に燦然と輝く大歌手ではありますが、彼女だとて、その陰には、ひたすら練習を重ね、その曲の魂に触れようとした隠れた日々があったはず…。ですから、音符と音符の間を歌えたのではないでしょうか。
歌手であれ、話し手であれ、「間」のとり方の良し悪しで、名曲にもなり 駄作にもなったりするのでしょうね。音符と音符の間を歌う…美空ひばりさんの歌を 改めて聴いてみたいと思います。
美空ひばり 生誕80周年記念『永遠の美空ひばり 紅白のすべてと伝説のNHK番組』 ダイジェスト映像 より
<2018年11月>
フリーアナウンサー 押阪 忍
1958年に現テレビ朝日へ第一期生として入社。東京オリンピックでは、金メダルの女子バレーボール、東洋の魔女の実況を担当。1965年には民放TV初のフリーアナウンサーとなる。以降TVやラジオで活躍し、皇太子殿下のご成婚祝賀式典、東京都庁落成式典等の総合司会も行う。2018年現在、アナウンサー生活60年。
日本に数多くある美しい言葉。それを若者に伝え、しっかりとした『ことば』を使える若者を育てていきたいと思っています。