トイプードルが教えてくれた 愛情と『幸せホルモン』の秘密
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
オキシトシンが足りない
何だか張り合いがない。決して固くなっているわけではないのですが、心が動かない。
やる気が出ないわけではなく、張り合いがない。ですから鬱ではない、と思う。
きっと人はそれぞれのスイッチをいくつか持っていて、その時々にスイッチが入るとエネルギーが湧いてくるようにできているのではないかと思うのです。
何かの拍子に俄然やる気が出てきて、いつも以上に動けてしまう。
仕事でも、人間関係においても、家族のこと、何かのイベントなどがきっかけで、スイッチが入る。
スイッチを入れるのにもエネルギーが必要で、常に微電流が流れているように自分を整えておくことも大切なのです。
その微電流となるものが、ホルモンバランスなのかなと最近思います。
もちろん、素人考えの思いつきなのですが、体調のこと、年齢による体の変化を考えてみるとそうかな、と。
私は50代の初めに婦人科系の手術をしているので、圧倒的に女性ホルモンが足りない。というか、ないかもしれない。
10年経った今、やっとその辺りを自覚し、自分はなんと自分自身を疎かにしてきたのかと、何とかせねば、と思っているところです。
自分のためだけに生きるしんどさを感じるようになったのは、2年前にトイプードルのラニを15歳で見送ってからです。
ペットロス、喪失感もあったと思うのですが、どうもそれだけではなさそうなのです。
100パーセント以上の信頼を私に伝えている目を忘れられません。
その目を見つめていると、心の中にあたたかい想いがあふれます。
娘を育てているときに感じたのと同じように、この世界にこれほど愛しい存在があったのかという想いです。
「かけがえのない」という言葉が胸に響きます。
わんこたちは言葉を発せずとも、雄弁に想いを伝えてきます。
ただただ愛すること。愛しかないこと。
ずっとお世話をしてきたつもりでいましたが、それ以上の愛を与えられていました。
ラニを胸に抱きながら最後の夜を過ごしたとき、失うものの大きさが怖くてなりませんでした。
今の私には、きっとオキシトシンが足りないのです。
オキシトシンは、脳の視床下部から分泌されるホルモンで、不安や心配などを緩和させてくれる働きがある。
分泌されると副交感神経が優位に働くようになり、心身ともにリラックスする効果があるといわれている。
このような働きをすることから、愛情ホルモン、幸せホルモンとも呼ばれています。
あの胸の奥から湧き上がるようなあたたかさ。オキシトシン、どうしたら分泌されるのでしょうか。
人間にとって、愛すること、愛情を注ぐことが大切なのですね。
心も体も健康であるためにも。
愛することの練習、まだまだこれからです。
いのちを紡ぐ言葉たち かけがえのないこの世界で
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※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
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⇒ 単行本「大人の結婚」