誰かの役に立つこと、それはいつか自分も助けられるということ By - 吉元 由美 公開:2020-09-27 更新:2020-09-27 エッセイ吉元由美 Share Post LINE はてな コメント 吉元由美の『ひと・もの・こと』 作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。 たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。 人はいつか自分の言葉、行いに出会う 「人はいつか自分の言葉に出会う」…というよく言われる言葉があります。因果応報とも、情けは人のためならず、とも言うのでしょうか。 悪口を言えば、どこかで悪口を言われる。相手を批難した同じ言葉をいつか言われる。反対に、ポジティブな言葉を心がけていると、ポジティブな状況が開けてきます。めぐりめぐって自分の元に還ってくるというわけです。 これは言葉に限ったことはありません。ずいぶん前にこんなことがありました。まだ娘と手をつないで歩いていた頃ですから20年近く前のことです。 散歩をしていたとき、雨がポツポツと振り出し、次第に雨脚が強くなっていきました。雨宿りをしようにも、そのような場所がありません。 急いで引き返そうとしたとき、透明のビニール傘を2本持っておじさんが歩いてきました。おじさんは私たちを見ると1本のビニール傘を「ほら、どうぞ」と差し出してくれたのです。 この出来事の何ヶ月か前、車で家へ帰る途中、急に雨が降り出したことがありました。前方から制服を着た女の子が鞄を頭にのせて速足で歩いてきました。 思わず助手席の窓を開け、ビニール傘を差し出しました。女の子はびっくりしていましたが、傘を受け取ってくれました。 誰かの役に立つこと、それはいつか自分も助けられるということ。世界は決して難しい法則の上に成り立っているのではないのですね。自分が差し出したものを、いつか受け取る。ただそれだけのことです。 いまの社会状況は複雑な様相を呈しています。その中で私たちは不安になり、先が見えなくなり、途方に暮れることもあります。 でもそんなとき、いつか自分の言葉に出会うこと、自分の行いに出会うことを忘れずにいたいものです。いま、この瞬間にできること。それを自分の軸にするとで、何をするべきか見えてくるでしょう。 2ヶ月前、転んで手首の骨を折ってしまったときのこと。近くにいたおじいさんが駆け寄り、すぐに救急車を呼んでくれました。私の重い荷物を持ってくれ、救急車に乗せてくれたのです。 お礼をしたく名前と住所を教えてくださいとお願いしたのですが、「あたりまえのことをしただけです」と。私は病院に向かう救急車の中で、おじいさんが健やかで幸せであるように祈りました。 ひとりだけで生きていける人はいません。誰かに支えられ、誰かを支えながら生きている。優しさがめぐりめぐる社会、よい種を蒔いていく。いま、こんな状況だからこそ実感するのです。 ※記事中の写真はすべてイメージ 作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー [文・構成/吉元由美] 吉元由美 作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。 ⇒ 吉元由美オフィシャルサイト ⇒ 吉元由美Facebookページ ⇒ 単行本「大人の結婚」 快挙を成し遂げた狩野英孝、帰国便の搭乗券をよく見ると… 「さすがJAL」の声ホノルルマラソンから帰国する狩野英孝さんに、JALが用意したサプライズとは…。 ロケで出会う人を「お母さん」と呼ぶのは気になる ウイカが決めている呼び方とは?タレントがロケで街中の人を呼ぶ時の「お母さん」「お父さん」に違和感…。ファーストサマーウイカさんが実践している呼び方とは。 Share Post LINE はてな コメント
吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
人はいつか自分の言葉、行いに出会う
「人はいつか自分の言葉に出会う」…というよく言われる言葉があります。因果応報とも、情けは人のためならず、とも言うのでしょうか。
悪口を言えば、どこかで悪口を言われる。相手を批難した同じ言葉をいつか言われる。反対に、ポジティブな言葉を心がけていると、ポジティブな状況が開けてきます。めぐりめぐって自分の元に還ってくるというわけです。
これは言葉に限ったことはありません。ずいぶん前にこんなことがありました。まだ娘と手をつないで歩いていた頃ですから20年近く前のことです。
散歩をしていたとき、雨がポツポツと振り出し、次第に雨脚が強くなっていきました。雨宿りをしようにも、そのような場所がありません。
急いで引き返そうとしたとき、透明のビニール傘を2本持っておじさんが歩いてきました。おじさんは私たちを見ると1本のビニール傘を「ほら、どうぞ」と差し出してくれたのです。
この出来事の何ヶ月か前、車で家へ帰る途中、急に雨が降り出したことがありました。前方から制服を着た女の子が鞄を頭にのせて速足で歩いてきました。
思わず助手席の窓を開け、ビニール傘を差し出しました。女の子はびっくりしていましたが、傘を受け取ってくれました。
誰かの役に立つこと、それはいつか自分も助けられるということ。世界は決して難しい法則の上に成り立っているのではないのですね。自分が差し出したものを、いつか受け取る。ただそれだけのことです。
いまの社会状況は複雑な様相を呈しています。その中で私たちは不安になり、先が見えなくなり、途方に暮れることもあります。
でもそんなとき、いつか自分の言葉に出会うこと、自分の行いに出会うことを忘れずにいたいものです。いま、この瞬間にできること。それを自分の軸にするとで、何をするべきか見えてくるでしょう。
2ヶ月前、転んで手首の骨を折ってしまったときのこと。近くにいたおじいさんが駆け寄り、すぐに救急車を呼んでくれました。私の重い荷物を持ってくれ、救急車に乗せてくれたのです。
お礼をしたく名前と住所を教えてくださいとお願いしたのですが、「あたりまえのことをしただけです」と。私は病院に向かう救急車の中で、おじいさんが健やかで幸せであるように祈りました。
ひとりだけで生きていける人はいません。誰かに支えられ、誰かを支えながら生きている。優しさがめぐりめぐる社会、よい種を蒔いていく。いま、こんな状況だからこそ実感するのです。
※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」