胎内記憶を持つ子どもたち 科学はどのように説明する?

By - 吉元 由美  公開:  更新:

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吉元由美の『ひと・もの・こと』

作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さん。先生の日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。

たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…様々な『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。

不思議な物語が教えてくれること

不思議なことを不思議だなあと思えるか。それとも、こんなことがあるわけない、と思うか。この世界には解き明かされていない事象にあふれています。宇宙人とか謎の古代史とか、ピラミッドの秘密、バミューダ・トライアングルの謎…『月刊ムー』のワールドも興味しんしんなのですが、それはそれとして。

例えば、胎内記憶を持つ子どもたちを、科学はどのように説明するのでしょうか。先日、市川海老蔵さんの息子の勘玄くんが「ママに、かわいく生まれてきてねっていわれたの」といったことを書いていらっしゃいました。 私の娘も「空の上からママを見つけて、あー、ママがいたいたって思って、お腹に入ったの」といっていました。胎内記憶についての科学的証明はむずかしいかもしれません。でも、これはこれで母と子の結びつきについて心を打つ話なのでいいのかと思います。

つい最近、私のソングライティング・クラスの受講生であるKさんに不思議なことが起こりました。Kさんは1年前に交通事故で息子さんを亡くしました。図書館に勉強に行くと自転車で出かけて、事故に遭いました。18歳。親にとって、これ以上の悲しみはありません。

Kさんは、その事故から2か月後に私の言の葉塾とソングライティング・クラスにいらっしゃいました。その深い悲しみを言葉にせずにはいられなかったのだと思います。息子さんに贈る歌詞を2編書き、陣内大蔵さんと池間史規さんに曲をつけてもらい、先日レコーディングしました。2曲目のデモテープができ上がったある日、不思議なことが起こりました。

家族がそろってくつろいでいた夕暮れどき、部屋のどこからか薄く音楽が聞こえてきたそうです。どこからだろうと探してみると、KさんさんのiPadから2曲目のデモテープの音楽が流れていたのでした。そのiPadは、パスワードを入れないと開かないようになっていて、勝手に動くはずがないのです。そして、そこには見たことのない画面が出ていたそうです。

ああ、S君が帰って来たんだ…。自分に贈られた歌を、喜んでいたのかもしれません。すぐに泣いてしまうお母さんを励ましに来たのかもしれません。そこに科学的な根拠があるのかはどうでもよくて、こんな心震わせる不思議なことがあると、この世もその先の世も1つなのだと思ってしまいます。ただ移動しただけ。そして、見えなくなっただけ。

そして今日、私にも不思議なことが起こりました。ここ最近、心が塞いでしまうことがいくつかあり、自分の無力さと情けなさに気持ちの置き所がない…そんな感じで過ごしていたのです。

用事が済んで車に戻り、エンジンをかけました。ギアをドライブにしようとシフトレバーをふと見ると、そこにお線香が一本あったのです。さっきまでなかったお線香が、一本。車の中にお線香があるなんて、考えづらい。昨年亡くなった母が、(あなた、何を落ちこんでるの? しっかりしなさい)と、喝を入れに来たのでしょうか?(大丈夫よ)と励ましに来てくれたのでしょうか? 

すべてはつながっている。亡き人を思う時、こう考えるのも悲しみを超えていくための物語なのかもしれません。こうしてときどき起こる不思議なことに、心が助けられることもある。これも、超えていくための物語なのです。


[文・構成/吉元由美]

吉元由美

作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
吉元由美オフィシャルサイト
吉元由美Facebookページ
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