『共感したい人』は『つながりたい人』? 簡単に人とつながる時代に必要なのは…
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
『共感したい人』『つながりたい人』
似て非なるもの。美しさと醜いもの。それは正反対にあるのではなく、薄紙一枚ほどの差。ちょっとした言葉の使い方。ちょっとした人との接し方に現れることがあります。一歩踏み出すと醜になり、一線を越えると美からかけ離れる。例えば『共感したい人』と『つながりたい人』。この二人の間には、大きな意識の違いがあります。
私の講座の休憩時間でのこと。参加していた友人の横で、名刺入れを持って立っている人がいました。友人は幅広い人脈と発信力を持った人です。名刺を持って立っていた人は、Facebookで私と友人が親しく交流しているのを見ていたのでしょう。その人は集客を必要とする仕事をしていたので、影響力のある人とつながりたかったのだと思います。
Facebookは実際に会ったことのない人とも交流できる場です。友達の友達ともつながることができる。友達の向こう側が見え、さらにその向こう側が見える。実際、Facebookで知り合ったある人と、共通の友達が80人もいて驚いたことがありました。その人は、私の友達に一斉にリクエストを送っていたのです。考えると怖いことですね。ポチッとクリックすれば、知らない人と『つながる』時代、だからこそこれまで以上に想像力と礼節が必要だと思うのです。
もしも友人とつながりたいのであれば、「紹介していただけますか?」と言ってくれたらいいのに、と思いました。そのようなつながり方のほうが、より親しく会話もできるでしょう。間に立った人から紹介してもらったほうが、自分のことを印象的に伝えることができるのです。間にいる人、最初の人を忘れない。「義を大切にする」ことは、人間関係において最も大切なことです。
先日伺ったパーティーでは、来賓の挨拶が終わり歓談の時間になると、皆さんが一斉に立ち上がり、方々で名刺交換が始まったのです。私は一瞬、何が起こったのかわかりませんでした。
『つながる』とはどういうことでしょうか。人脈を広げることにどういう意味があるのでしょう? 「ご縁に感謝します」というご挨拶をよく目にします。『ご縁』とは、ただ知り合って名刺を交換することで生まれるのでしょうか。
つながっていくということは、共感をつないでいくことです。お互いの心に響き合うものがあって、はじめてつながっていける。心で響きあったことは、波動として周りに広がっていく。そこに共感した人が心を響かせてつながっていく。ご縁とは、このようにしてつながり、育んでいくものではないでしょうか。
本質、本当のご縁を求めていくなら、名刺の数でも友達の多さでも、有名人とつながっていることでもないのです。そこにどれだけの共感や信頼があるか。ここがポイントです。簡単につながることができる時代だからこそ、マナーが大切なのです。
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作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」