ダンボールの奥に眠っていた…17年前の母の手紙は、かけがえのない贈りもの
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
母からの贈りもの〜17年前の手紙から
片付けをしていると、思いがけないものとの出会いがあります。
仕事部屋を何度か引っ越したことがあり、開かずのダンボール箱が10数個そのままになっていました。
『CD』『本』『事務関係』などとシールが貼ってあるものの、何がどのくらい入っているのか忘れています。
ダンボールも傷んでいるので、一つ一つ開けて、必要なものと処分するものに仕分けをすることにしました。
『資料』とラベリングされた箱の中のものは、ほとんど資料としては古くなり処分するのですが、その中になぜか1通の手紙が入っていました。
宛名には娘の名前、母から娘への手紙でした。
日付を見ると2008年8月、娘は小学5年生でした。
その夏、アメリカの友人宅にホームステイをし、10日間のサマースクールに参加しました。
母は出発前にこの手紙を娘に渡したのでしょう。
「Yちゃん、アメリカに出発の日ですね。おめでとう。可愛い小さな孫だと思っていたら、あなたはあっという間に5年生の夏を迎えました」
こんな言葉で始まった手紙には、北京オリンピックが始まって、心を揺さぶるような感動をもらっていること、その反面悲しいことが世界では起こっていること。
みんな幸せになりたいのに、なぜこうなってしまうのか。
大人たちはもっと考えなければならない。
5年生はとても大事な年、おばあちゃんも5年生の時にすごい経験をしたこと。
そして、外から帰ったらうがい、手洗いをすること。
ステイ先のご家族や皆さんに可愛い笑顔で挨拶してね。ありがとうを心をこめて。
大きな社会の中で自分を発見してください…と、便箋6枚に母の思いが綴られていました。
私の知らないことも書かれていました。
孫の出発にと書き始め、筆の進むまま思いがけない思いがあふれてきたのかもしれません。
手紙の最後に「76歳のおばあちゃんは、孫たちの未来を想像しています。世界が平和でありますように。みんなそれぞれに自分の特徴を生かして、勇気を持って生きていけますように。人の心をわかり合える優しい気持ちを。感謝の気持ちを素直に言葉に表せる人に」と。
母が亡くなって9年という年月が過ぎました。
思いがけず書類の山の中から見つかった手紙は、私にとってもかけがえのない贈りものになりました。
母が私に命を与え、私が娘へと命をつなげたように、私も母のように娘にそうあるように祈っているのです。
きっとこのタイミングで、私自身、ちゃんと受け取ることが必要だったのかもしれません。
そんなことを思い、手紙をアメリカに住む娘へのパッケージの中に入れました。
大人になった今、もっと深く受け取ってくれることを願いながら。
いのちを紡ぐ言葉たち かけがえのないこの世界で
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※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」