丁寧な言葉、それは、相手を大切に思う気持ちの表れ 言葉のほころびに気をつけたいもの
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
丁寧さは心の表れ
SNSの広がりで、人と人とのつながりの垣根が低くなりました。
とても知り合うことはないような有名人とも運が良ければつながり、コメントをすれば返事をもらえることもあれば、場合によってはお誕生日のメッセージをもらえることもあるでしょう。
自分の呟きや近況報告を投稿しながら、人とのつながりが広がっていく。便利で興味深いツールです。
「言葉は伝わればいいのだから、深く考えすぎないほうがいい」
以前、仕事関係の人からこう言われたことがありました。言葉を単にコミュニケーション、伝達のツールだと思っているその人の言葉は、しばしば誤解や行き違いを生むものでした。
一度発した言葉は削除することはできません。
「そんなつもりで言ったのではない」
と言って誤解は解けたとしても、言われた人のインパクトをなかったことにはできないのです。
SNSの中での気軽なやり取り。気軽で手軽なだけに、言葉のほころびがあちらこちらに見られます。言葉が足りなかったり、失礼な物言いであったり。
面識のない目上の人に対して、例えば「先生すごい!」「上手!!」とコメントする。悪気がないだけに残念。
「先生、素晴らしいです!」と丁寧に伝えたら、不躾ではなく、より気持ちが伝わるのではないでしょうか。
人と人との垣根が低くなった分、丁寧なコミュニケーションが求められる。垣根が低いというのは、ずかずかと相手に近づいていくことではないのです。
片岡鶴太郎さんと仕事をしたとき、ご自宅に伺ったことがありました。鶴太郎さんは誰に対しても丁寧な言葉で話し、マネージャーさんにも丁寧に用事をお願いされるのです。
「〇〇さん、お客さまに果物もお出ししていただけますか?」
言葉が丁寧なだけで、その場の空気が和らぎます。それは、相手を大切に思う気持ちの表れです。
丁寧な言葉でのコミュニケーションには美しさがあるのです。
SNSという顔を合わせない場だからこそ、言葉のほころびに気をつけたいものです。
丁寧に、よく考えて、そして気軽に楽しむ。低くても、垣根は越えないように。
※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」