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毎年届く一枚のクリスマスカード 「学ぶ喜び」が教えてくれること

By - 吉元 由美  公開:  更新:

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吉元由美の『ひと・もの・こと』

作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。

たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。

「学ぶ喜び」が教えてくれること

毎年届く一枚のクリスマスカード。フィリピンのある島に暮らすアレグノちゃんは8年生、二人目の里子です。カードにはサポートに対する感謝の言葉と、私が元気で、家族も元気で健やかに過ごせますように、そしてあたたかいクリスマスを過ごせますように…と、祈りの言葉がたくさん綴られていました。

私が加入しているプログラムでは、月に4千円ほどの寄付で子どもたちに教育の機会、健康診断、予防接種などのサポートを行います。年に一度、学校の成績表が送られてくるのですが、一人目の里子のジュリーも、二人目のアレグノも驚くことにほとんどの科目がAで、とても優秀なのです。

二人の里子を成長させたのは、彼女たちの「教育を受ける喜び」なのだと思います。サポートを受けているからやらなくちゃ…ではなく、学べることの喜びです。

アジアの各地には、貧しさのために学校へ行けない子どもたちが大勢います。そのために貧困が貧困を生むという連鎖となります。教育を受けるということは、知識を身につけ、考え方を学び、人間形成の基本に必要なことを修得させることを目的としています。

そして何よりも大切なのは、健全な自尊心を育てること。自分の特性を生かしていきていく、自分の価値を築いていくためには、教育を受けるという経験が必要なのです。ですから、子どもたちは嬉々として、生き生きと勉強に取り組みます。

大学を卒業するときに、自分にかかった教育費、お稽古事にかかった費用はいくらになるか、大まかに計算したことがありました。そして父のところへ飛んでいき、ありがとうございました、と感謝したことを覚えています。とても「あたりまえ」とは言えない金額に、頭が下がりました。

数年前、高校を卒業した一人目の里子のジュリーから感謝の手紙が届きました。その手紙を読み、娘はアメリカで学ぶことを決意したそうです。

「ママがちょっといいランチを1回食べるほどの金額で、一人の子どもが教育を受け、健康診断も受けられる」

途上国を支援する国際貢献のための勉強をしたいと、心を動かされたのでした。途上国の子どもの学ぶ喜びが、あたりまえのように教育を受けていた日本の子どもを動かしたのです。

今年届いたアレグノからのクリスマスカードの最後にはこう書いてありました。

「一生懸命勉強して、親を助け、社会の役に立つ人間になりたいです」

改めて心する言葉を、フィリピンの里子からもらったのでした。

※記事中の写真はすべてイメージ

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[文・構成/吉元由美]

吉元由美

作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
吉元由美オフィシャルサイト
吉元由美Facebookページ
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