つい見てしまう『他人の本棚』 その人の思考や嗜好、興味、そして意外な一面を表すこともある
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
他人の本棚
その人はどんな本を読んでいるのか。友人の家に行ったとき、本棚をつい見てしまいます。テーブルの上に無造作に積まれた本もつい見てしまいます。
自分の知らないものがそこにあるかもしれない、という探究心、そして少し覗き見気分もあるかもしれません。
知性、物語、情報であふれかえった書店で、自分はほとんど何も知らないのだと時々呆然としてしまうのですが、人の本棚は本選びの参考になったりするのです。
それに棚に並んでいる本は、その人の思考や嗜好、興味、そして意外な一面を表すこともありますね。
哲学系の本の中に、健康関係の本を見つけたりすると、微笑ましい気持ちになったりするのです。
本棚を背に解説している識者のYouTubeなどの動画では、つい並んでいる本に目が行きます。
国内外の政治系の本の中に、宗教系の本が数冊並んでいるのも興味深く、幅広い見識が求められていることがわかります。
また純文学の名作が並ぶ中の、又吉直樹の『火花』がふっと目を惹きます。そして「読破」という言葉が浮かび、つくづく自分の勉強不足を反省するのです。
小さい頃、よく父の書斎で両側の壁いっぱいの書棚にある本を眺めたものでした。日本文学、世界文学全集や百科事典、司馬遼太郎、城山三郎、吉川英治、山本周五郎……歴史小説が好きなのは今も変わりません。
子どもながらに何か読めるもはないか探すのですが、当然ながら小学生には難しい本ばかりが並んでいました。
知らない世界がそこにあるという気がしていたのか、書斎で過ごした時間は特別な感じがしたものです。
さて、私が他人の本棚が気になるように、人も私の本棚を見てみたいと思うかもしれません。
zoomでのミーティングや講座があるとき、本棚を背に話せたらかっこいいのですが……画面の背景は「海」や「宇宙」にしています。
いい感じに乱雑なのがかっこいいこともありますが、私の場合はあまりにも適当すぎます。私の本棚は縦に大きく三つのブロックに分かれていて、右側には自分の著書関係、左側には詩集、日本語、言葉に関する本を収めています。
万葉集、古事記、歳時記、日本語についてなど、このコーナーは自分としても気に入っているのですが、問題は中央のブロックです。
小説、随筆、心理学、哲学、自己啓発系、友人たちの著書などが特にジャンル分けせずに、縦に横に混在。どこまで私自身がこの乱雑ぶりに我慢できるか。他人に見てもらえる本棚に整理整頓していきたいです。
先日、父を本屋さんに連れて行きました。杖をつきながら、よたよたと書棚をめぐっています。本を手に取り、しばらく立ち読みをしている。
何を読んでいるのかと思ったら、内館牧子さんの『老害の人』でした。父の蔵書にこの本は加わるのでしょうか。そんな本棚を覗くのは、おもしろく、せつなくなったりもするのでしょう。
いのちを紡ぐ言葉たち かけがえのないこの世界で
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※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」