押阪忍が語る 『奥の細道』収録の思い出〜その壱
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- 出典
- 芭蕉自筆奥の細道
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こんにちは、フリーアナウンサーの押阪忍です。
ご縁を頂きまして、『美しいことば』『残しておきたい日本語』をテーマに、連載をしております。宜しければ、シニアアナウンサーの『独言』にお付き合いください。
『奥の細道』収録の思い出
俳聖 松尾芭蕉の直筆が発見されたというニュースが発端で、或る代理店から 芭蕉の『奥の細道』の朗読の依頼があり、終日緊張しながら収録した思い出話です。DVDやCDが出る前の8ミリテープの時代、スタジオはかつての麹町スタジオでした。プロデューサーと監修の先生がお2人、録音技術者と私が、夫々の立場で、本当に真剣勝負で、名作『奥の細道』に取り組んだ1日でありました。
芭蕉の直筆を見た時、その秀麗な達筆に先ずは驚きました。この流れるような筆遣いで、数々の名句を世に送り出したのだと、深い感動を覚え、芭蕉の心境そのままに、マイクに向いたいと思ったことでした。
朗読者としては、単なる紀行文ではなく 数々の名句も生れた格調高い文学作品だけに、変に感情移入したり、色をつけたりしないで、先ずは判り易く、聴き易く伝えることを心がけました。でもこの部分は どうしても力点を置きたい、ふくらませたいと思った行りは、監修者にご相談してOKを貰ってから、約1900キロの『奥の細道』を、名句に出会い感動を覚えつつ、1歩1歩、歩いて行きました。
それまで朗読物は、何度も経験はしていましたが、これほどまでに 緊張感をもって取り組んだ収録はありませんでした。朝10時から夕方6時まで、監修者 プロデューサー 録音技術者 朗読者が 夫々の分野で、目を凝らし、耳を傾けた1日だったと思います。
収録後、この大仕事を終えた達成感で お互い笑顔の握手を交わした時の喜びは、今でも忘れられません。そんな訳で、『奥の細道』についての当方の思いを 数回に亘りご紹介させて戴きますので、どうぞおつき合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
<2019年10月>
フリーアナウンサー 押阪 忍
1958年に現テレビ朝日へ第一期生として入社。東京オリンピックでは、金メダルの女子バレーボール、東洋の魔女の実況を担当。1965年には民放TV初のフリーアナウンサーとなる。以降TVやラジオで活躍し、皇太子殿下のご成婚祝賀式典、東京都庁落成式典等の総合司会も行う。2019年現在、アナウンサー生活61年。
日本に数多くある美しい言葉。それを若者に伝え、しっかりとした『ことば』を使える若者を育てていきたいと思っています。