諦めたらそこで終わり 「続ける」ことは、人としての力を高めていくことになる
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
「学ぶ」を続ける
中学1年生の3学期、人生でいちばんのいい成績をとりました。3学期は期間が短いので、勉強する範囲もそう広くはない。
理数系は壊滅的なほど苦手だったのですが、なぜかこのときは理解が進み、テストでいい点数を取ることができたのです。(その後の理数科系は惨憺たるものですが)成績表に、担任の先生からのコメントが1行。
「努力に勝る天才なし」
教師の言葉は大切です。先生のこの一言に、これまでどれだけ支えられてきたか。大学を卒業し作詞家でデビューするまで、この言葉を杖に勉強していました。
このように書くと根性物語のようですが、「努力に勝る天才なし」「努力は裏切らない」「継続は力なり」など古くから言い伝えられている言葉を多くの人が実感しているのではないでしょうか。
いつでもやめることはできる。でも、諦めたらそこで終わり。諦めなければ、終わらない。
壁にぶつかるたびに、これらの言葉を心の中に呼び戻しながら40数年、なんとかこの仕事を続けることができました。
「続ける」ことは、そのスキルだけでなく人としての力を高めていくことになると思います。『学ぶこと』を続ける大切さは、能力を磨いていくだけではないことに最近気づきました。
特に50代、60代からの「学ぶ」は、常にアップデートしていくこと、謙虚であることが求められます。そのくらいの年代になると、誰も叱ってくれる人も、注意をする人もいなくなります。
それが社会の目というものなのかはわかりませんが、成長の機会が少なくなってくるのです。
音楽を奏することへの憧れから習い始めた歌のレッスン、何度も壁にぶつかり、何回指導されても口蓋の開け方が掴めない。向いているか向いていないかと言えば、おそらく向いていないのだと思います。
しかしレッスンを辞めないのは、歌うことが好きだということ、どこまで歌えるようになるかという自分への興味があること。そして学ぶことを通して謙虚さを持ち続けたい。
『先生』の存在は、いつでも私を小学生、中学生の気分に戻してくれます。自分の未熟さを知ること。未熟であるから成長があるということ。
学ぶということの原点に立ってみると、いつでもフレッシュな気持ちを思い出せるのです。
「学ぶ」を続ける。それを努力というなら裏切られることはないし、どんな緩やかなペースであっても諦めない限り終わりもありません。
壁にぶつかったときは、いつもよりも少しだけ頑張ってみる。すると、先が見えてくる。常にアクセルを踏み込むのではなく、時にはゆるゆると走るのもいい。休憩してもいい。
こんな余裕を持って「学び」に向かい合えるのは、人生後半ならではの醍醐味でもあるのです。
いのちを紡ぐ言葉たち かけがえのないこの世界で
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※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」