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「きれいな景色を撮ったら知らない人が写り込んでいた」 この写真、SNSに投稿しても問題ない?

By - ことのは  公開:  更新:

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写真を撮影する人

※写真はイメージ

おしゃれなカフェのランチや、旅先で見つけた美しい風景などを見ると、スマートフォンのカメラで切り取って、SNSにシェアしたくなるものです。

しかし、投稿する前に写真の隅々まで確認すると、「知らない人の顔が、小さく写っていた」という経験がある人もいるでしょう。

「これくらいなら大丈夫か」と、軽い気持ちで投稿してしまうと、思わぬトラブルの火種になるかもしれません。

原則としてNG? 弁護士の見解は…

そもそも、他人が写り込んだ写真を、勝手にSNSへ投稿することに、法的な問題はあるのでしょうか。

大阪府大阪市で、まこと法律事務所を運営する北村真一弁護士にうかがいました。

――他人の顔が写った写真を、勝手にSNSに載せてもいいのでしょうか?

いえ、原則としてNGです。私たちには誰でも、無断で顔などを撮影されたり、その写真を公開されたりしない『肖像権』という権利があります。

本人の許可なく、顔がはっきりと分かる写真をSNSに投稿する行為は、この肖像権を侵害する可能性が非常に高いです。

――では、どんな場合に『肖像権の侵害』だと判断されるのですか?

主に、以下の3つのポイントで総合的に判断されます。

1.顔がはっきりと分かり、その人が誰なのか特定できるか。

2.その人が写真のメインになっているか。

3.その写真が、拡散されたくないような場所で撮影されたか。

例えば、カフェの店内で、隣の席に座っていた人の顔がはっきりと分かるような写真を投稿すれば、侵害と判断される可能性は高くなります。

カフェで写真を撮る女性の写真

※写真はイメージ

――カフェと観光地で、判断に違いはありますか?

はい、撮影された『場所』は、非常に重要なポイントです。

カフェやレストランの店内は、食事や会話を楽しむ、比較的プライベートな空間です。

このような場所で、個人が特定できるような形で写真を公開されることは、本人にとって精神的な苦痛が大きいため、肖像権の侵害と判断されやすい傾向にあります。

一方で、観光地やスクランブル交差点などは、不特定多数の人が行き交う、公共性の高い場所です。

このような場所では、ある程度『風景の一部』として写真に写り込むことは、社会生活を送る上で我慢すべき範囲(受忍限度)だと考えられています。

大勢の中の1人として、顔が小さく映り込んでいる程度であれば、問題にならないケースが多いでしょう。ただし、その人を狙って撮影したと見なされれば、話は別です。

気持ちよくSNSを楽しむためにできること

この問題は、法律でどう決まっているか以上に、私たち一人ひとりの『想像力』が大切なのかもしれません。

「もし、自分が知らない誰かのSNSに、写り込んでいたら…」そう考えるだけで、投稿前のひと手間を惜しまなくなるはずです。

写真に写る顔にぼかしを入れたり、人がフレームからいなくなるのを少し待ったり。その数秒の配慮が、誰かのプライバシーを守ります。

観光地で写真を撮る女性の写真

※写真はイメージ

もちろん、友人や知人が一緒の場合は「この写真を載せてもいい?」とひと声かける。そんな当たり前の気遣いが、お互いの信頼関係を育むでしょう。

ほんの少しの思いやりが、SNSを誰にとっても安全で楽しい場所にしてくれます。その優しい輪を、私たち自身の手で広げていきたいですね。


[文・取材/ことのは 構成/grape編集部]

北村真一さんの顔写真

監修・取材協力 北村真一

まこと法律事務所 代表弁護士。
「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないという声もあがる大人気ローカル弁護士。
猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。
HP⇒まこと法律事務所

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