インターンシップに向かう大学生の娘へ ささやかなエールをお弁当箱に詰めて
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
お弁当という小宇宙に心をこめて
2ヶ月半の期間限定で、毎日お弁当を作っています。夏休み、大学生の娘がフルタイムでインターンに行くことになり、中学校以来、5年ぶりにお弁当作りをすることになりました。
アメリカの高校に進学し、いま大学で勉強している娘にしてやれること。考えてみるとそう多くはないのです。栄養的なこと、経済的なこともありますが、1年間のほとんどが、学校の食堂での食事と外食という娘にささやかな家庭の味を食べさせたい…という親の勝手な思いから、夏のお弁当作りが始まりました。
お弁当は、おいしいことはもちろんですが、おいしそうに見えることが大切です。蓋を開けたときに(わあ)と心がわくような。そして、(どれから食べようかな)と、お箸をつける前の小さなわくわく感。そんなささやかな楽しみが、小さなお弁当箱に詰まっています。
お弁当を楽しむという風習は、安土桃山時代といわれています。貴族たちが『提重(さげじゅう)』というお皿、酒器などが一体化したお弁当箱にごちそうを詰めて、お花見や紅葉狩りを楽しんだのだとか。ここからお弁当を楽しむという文化が生まれたそうです。
江戸時代になると弁当文化が庶民にまで広がります。お弁当を作って、お花見などに出かけたのでしょう。歌舞伎の幕間にいただく幕の内弁当、江戸の人たちは人生のささやかな楽しみかたを知っていたのですね。
駅弁も旅の楽しみです。新幹線に乗る機会が多いのですが、東京駅へ向かう電車の中から(今日はどのお弁当にしようかな)などと考えている…これもまた食い意地が張った話ですが、駅弁にはわくわくさせる何かがあるのです。
お弁当は小宇宙のようです。小さな箱の中にさまざまな味、匂い、色、食感が詰まっています。日本人はコンパクトにまとめて、そこに独自の世界を創ることが得意なのですね。お弁当というジオラマ。私にとっては、創造性を発揮する場でもあるのです。
ふと気付くと、お弁当のおかずのことばかりを考えているのですが、これがなかなか頭を使います。5品ほどのおかずを、効率よく作り、マイナーチェンジをする。いわゆる、おばんざいを作り置きしておく。この暑さですから、ご飯は梅干しを入れて炊きます。また、クエン酸も摂りたい。プチトマトやカブをピクルスにして、サラダ代わりに。わっぱのお弁当箱に、いかに彩りよく、詰めていくか。プレゼンテーションが大切です。
お弁当。どこか懐かしく、人それぞれ、いろいろな思い出があるでしょう。運動会のお重のお弁当を、校庭の片隅にシートを広げて家族で食べたこと。小学校の同級生男子の、ご飯の上にとんかつがのっかっていたぎゅうぎゅうのお弁当。お母さんが病気がちで、毎日『赤トンボ』のサンドイッチだった同級生。
この夏のお弁当は、何よりも私の思い出になりそうです。自己満足のような、罪滅ぼしのような。そして、娘へのささやかな応援でもあるのです。
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作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」