心、感受性をオープンに、楽しい!素敵!と素直に感動することの大切さ
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
永遠の17歳を心に
「私は14歳の自分を飼っている」
2年前、松任谷由実さんがインタビューで語っていた言葉です。この感じ、とてもよくわかる。私の中には、永遠の17歳と永遠の28歳がいます。
こう話すと多くの人が眉をひそめるのですが、決して若者ぶっているわけではありません。17歳のときに価値観を変えるような光景に出会ったこと、その頃の感受性を今も大切にしていること。
28歳の私はとても冴えていて、生き生きとしていた。そのエネルギーを今持つことは難しいですが、28歳の自分は私を励まします。
松任谷由実さんの「14歳を飼っている」というのも、何かインパクトのある忘れられない年だったのではないかと推測します。
私は大学の授業でも、また講座の中でも、心、感受性をオープンにして、素直に感動することの大切さと伝えています。
忘れられない光景、感動は単に想い出になるだけではなく、感性の発露になり、励ましになり、何かあればその場面を追体験することもできます。
体験を前向きに捉えることで、いつでもフレッシュな気持ちを保つことができるのです。
17歳、高校3年生の5月のある日。朝起きたらとても天気がよくて、海を見たいなあと思いました。そして友達と午後からの授業をさぼって、海を見に行ったのです。
たったそれだけのこと。でも、思ったことをすぐに行動できたこの体験は、とても大切なことを教えてくれたし、行動できたことがとてもうれしかった。
そしてこの5月の海は、これまで見たどんな美しい海よりも輝いているのです。
船の上で満天の星空を見たのも17歳でした。自分もこの果てしない宇宙の一部なのだと思ったら、うれしさがこみ上げてきました。
私たちが生きる時間は、宇宙の時間の中で塵にも満たないような時間です。でも、その人生の中で味わう悲しみは深く、喜びは胸を震わせる。
ずいぶんと大人になってから、あの満天の星空は、生きることの尊さを教えてくれました。
私の歌詞の中には星空が多く登場しますが、胸の奥のスクリーンにこの時の星空を再現しながら書いています。いつでも、どこでも、『大好きなあの頃』に戻ることができる。
過ぎていった時間を行ったり来たりできるように。そう考えていくと、これから私たちが刻んでいく時間を豊かに過ごしたいものです。
振り返ったとき、忘れられない時間にできるように。心をオープンに、楽しい!素敵!と思える素直さを。
ささやかなことに感動できる感受性は、幸せな気持ちの源なのです。
※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」