いつも上機嫌といかない自分…心も身体もいい状態に保つための処方箋とは
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
身体と心をつなぐ処方箋
できることなら毎日上機嫌でいたい。少々のことには揺らがない。気にしない。一喜一憂しない。不本意なこともさらーっと流す。
宮沢賢治の『雨ニモマケズ』の最後の一文のように、
「サウイフモノニ ワタシハナリタイ」
自分の中に不穏なことを取り込まず、いつも上機嫌。そういうものに私はなりたい。
しかし、心がざわつき、迷いを払拭できず、起こっていないことを案じて落ち込む……いくつになっても日々上機嫌といかない自分が情けなくなります。
とは言え、そんな自分とうまくつきあっていかなければなりません。心も身体もいい状態に保つ、またはいい状態に戻すための処方箋を、多くの人が持っていると思います。
エステを受ける、ジムへ行く。お風呂にゆっくり入る。カラオケで思いきり歌う。一杯のワインで癒されることもある。
私も仕事に一区切りがついたときなど、ひとりで泡とワインを飲みに行くこともあります。自分へのご褒美も、そんな処方箋の一つと言えるでしょう。
数年前になりますが、東京国際フォーラムへあるコンサートを聴きに行くことがありました。その日、とてもコンサートへ行くような気分ではないほど、落ち込んでいたのです。
できることなら家で寝ていたい、誰とも会いたくない。でも、友人と約束をしていたので、行かないわけにはいきません。
地下鉄を降り、会場へと地下道を歩いていたとき、ふと思いついたのです。
(すれ違う人の幸せを祈りながら歩こう)
そして、(あのお姉さん、今日デートがうまくいきますように)(あのおじさんが今日、美味しいビールを飲めますように)(あのおばさんが、ダイエットに成功しますように)などなど。
一人ひとり、設定は適当な内容ではありますが、すれ違う人の幸せを祈る。夕方の日比谷駅ですから、地下道は混雑しています。前から押し寄せる人に向けて、心の中で早口で祈ること10数分。
会場に着いたとき、胸の奥からあたたかい喜びがあふれてきて、自然と口角がきゅっと上がっていることに気づきました。
脳科学的に言うと、このようにポジティブに、感謝の気持ちや人の幸せを祈るときなど、脳内にはベータドルフィン、オキシトシンなどの快感物質が分泌され、幸福感を得るそうです。
人間の脳の仕組みがそのように作られていることに、私は深い感動を覚えます。「こう行きなさいね」という示唆が、このホルモンの仕組みに込められているような。
身体の仕組みを知ること、身体と心を上手につなげながら、心地よく過ごしたいですね。ただし、他の人の幸せを祈るとき、かなり気合いを入れることが肝心、これがポイントです。
いのちを紡ぐ言葉たち かけがえのないこの世界で
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※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」