【下剋上球児 第3話・ネタバレあり】賀門と南雲の関係性はまるで… 節々から感じるサスペンス要素
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ブログやSNSでドラマの感想や情報を発信して人気を博している、蓮花茶(@lotusteajikkyou)さん。
2023年10月スタートのテレビドラマ『下剋上球児』(TBS系)の見どころを連載していきます。
前回は、南雲脩司(鈴木亮平)の衝撃の告白で終わった。
「教員免許を持たずに教師をする」という違法行為。南雲が犯罪者という重すぎる現実に山住香南子(黒木華)が聞かなかったことにして、逃避するのも無理はない。
越山高校野球部は、星葉高校との練習試合でコールド負けをしたものの、彼らは野球の面白さに気づき始め、勝ちたいというモチベーションが上がっている。
このまま南雲の指導のもとで練習を続ければ、いずれ強くなっていくだろう。
だが、彼らが強くなっていけばいくほど、チームと指導者に注目が集まる。それは南雲の秘密が暴かれる可能性に繋がっていくのだ。
何よりもまず、南雲が現在進行系で犯罪を犯していることが大問題である。
南雲が山住に秘密を打ち明けたちょうどその時、椿谷真倫(伊藤あさひ)はバッティングセンターで酔っ払いの男に絡まれていた。
見かねた日沖壮磨(小林虎之介)が間に入るもトラブルになり、野球部のメンバーも駆けつけて大騒動になる。
南雲は壮磨につきそって話を聞いてやり、バッティングセンターで聞き込みをして、暴力事件の真相をつきとめる。
実際は、兄の誠(菅生新樹)が喧嘩を止めようとしたが、はずみで被害者の男を突き飛ばし、怪我をさせてしまった。だが、兄と野球部を庇って壮磨は自分がやったと言ったのである。
被害者の男は画面が割れたスマホの弁償を要求していたが、南雲の聞き込みによって、以前から割れていたことが判明。南雲の裁判も辞さない毅然とした態度により、暴力事件は無事解決したのだった。
しかし、誠は暴力事件の責任を取ろうとしてキャプテンを辞任し、試合に出場しないと言い出す。
野球部の部員も山住にも止められたが、誠のこの態度は、罪を隠したままの南雲への対比のようにも見える。
かつて、南雲の高校時代、勝つために強打者を敬遠し続けた賀門の作戦に異を唱えて正々堂々と戦おうとした南雲の姿が、誠たちに重なる。
問題を起こした生徒を簡単に見捨てたりせず、丁寧に事件を調べ、何があっても生徒の人生を守り、野球部と距離を取りながらも、山住と連携して的確な指導を行う。
夏の予選の日、南雲が自宅で書いていたのはひとりひとりへの手紙だろう。
ここまで真摯に生徒個人を見てくれている教師はなかなかいない。こんなにも理想的な先生なのに…南雲には教師の免許がないのだ。
そう、いつの間にか視聴している私達も山住と同じ重い課題を与えられているのである。
南雲が生徒思いのいい先生であればあるほど、彼が犯罪者であるという重い現実が頭の中によぎる。
それでも生徒たちが南雲の不在に不安になる姿を見ると、部活に行ってあげて欲しいと思う。
南雲の誠実さを見れば見るほど、自分の中の倫理観とせめぎあいになってしまう。
底辺公立高校が、ごく普通の教師とともに、努力と試練の末に野球強豪校を破って甲子園に行くという爽快な王道ストーリーだと思っていた。
だが、このドラマが私達に突きつけてきたのは、一人の人間が背負った罪と、罪を背負った人間とどう向き合うかという物語だった。
そこで山住は南雲の共犯者になることを選択した。野球と部活をすべてに優先させる彼女らしい選択だろう。
一方、賀門(松平健)は学生時代の南雲を知る男(渋江譲二)から、彼が落第していたことを聞かされる。
賀門はその後、南雲は大学を卒業したのだろうと気に留めてなかったが、思えば彼は最初からずっと無自覚に南雲を追い詰めているのである。
当初、このドラマはサスペンス要素があると聞いていた。
「なぜ実話がモデルの作品でサスペンスが?」と思っていたが、南雲と賀門の関係は、恩師と教え子でありながら、刑事と逃亡中の犯罪者に近いのだ。
南雲の罪は、果たしてこのまま隠蔽されたままなのだろうか。いよいよ夏の甲子園の予選である。
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