ハードルが高い弁護士相談 法テラスの助言に「心強い!」
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- 取材協力
- 日本司法支援センター 法テラス
長い人生の中、誰もがライフステージの節目節目で、さまざまな難問に行き当たります。離婚や債務整理、相続など、法的に解決しなくてはならない問題に直面する可能性はゼロではありません。
「困った。弁護士に相談したほうがいいのでは?」と思う時もあるでしょう。弁護士に相談したい場合、何から始めればいいのでしょうか。
『日本司法支援センター』(通称「法テラス」)に取材し、鏑木信行常勤弁護士にお話をうかがいました。
まずは気軽に、弁護士に相談しましょう!
※写真はイメージ
鏑木弁護士に「弁護士への相談の始め方」について聞きました。
――弁護士に相談したい時には、何から始めればいいのか。
「困ったな」「心配だな」と思ったら、それが法律問題であるか分からなくても、まずはお気軽に相談いただきたいなと思っています。
――法律問題かどうか分からなくても相談していいのか。
病気の場合は、熱があったり、ノドが痛かったり「病気かもしれないぞ」というサインに自分で気付くことができますよね。でも、法律問題の場合にはそれがありません。
例えば、生活が困窮している方の支援に当たっていると、背景に多重債務の問題があったり、本当は請求できる養育費をもらえていなかったり、理由なく解雇されて職を失っていたり、いろいろな法的問題を抱えている方が少なくありません。
でも、自分で弁護士に相談できる方は限られています。自分の抱えている生活困窮の背景に法的問題があって、それが解決可能だということを認識できないので、そもそも弁護士に相談するという選択肢が思い浮かばないのです。
――なるほど。
「裁判に訴えられたら」とか、問題が大きくなってどうにもならなくなった時にではなく、もっと早い段階で、弁護士にお気軽に相談いただきたいですね。
時間が経過すると事態が進んで解決が難しくなる、ということもあります。病気でも、早期発見早期治療が大切ですよね。それと同じです。
――弁護士に相談するのはなかなかハードルが高い。
そうですね。弁護士に相談するとなると、一般的に、次のようなハードルがあるのではないかと思います。
①費用が払えない。
②(特に地方では)近くに弁護士がいない。
③法律で解決できるか分からない、どこに相談したらよいか分からない。
④相談するのに心理的な抵抗感がある。
①については、例えば『法テラス』の民事法律扶助制度(※)をご利用いただくと、一定の収入・資産の基準を満たす方について同一の相談について3回までは無料で法律相談することができます。
②については、『法テラス』でも、過疎地に法律事務所を設置するという取組を行っています。現在は、電話などでの法律相談もできるようになりました。電話やオンラインで法律相談ができる法律事務所も増えてきました。
③については、『法テラス』でも、「法テラス・サポートダイヤル」(0570-078374)において、法制度や相談窓口のご案内をしています(平日9時~21時、土曜9時~17時)。
④については、先ほどもお伝えしたように、「困ったな」「心配だな」と思ったら、まずはお気軽に相談いただきたいなと思っています。
※経済的理由により弁護士を頼むのが困難な人向けに、無料法律相談や弁護士・司法書士の費用等の立て替えを行う制度のこと。
弁護士に相談する時に準備するものは
弁護士に相談する際にはどんな準備をしておくべきでしょうか。
鏑木弁護士のお話によれば、以下の情報を可能な範囲で自分なりに整理しておくと、弁護士としては、法律相談においてより適切な見通しが立てられるようです。
①自分が何に困っているか。
②どのような事実があったか。(自分に不利な事実も含めて)
③事実を証明する証拠があるか。
ただ、これらの整理には法的な観点も必要で、自分で行うには限界があるため、「準備を完璧にするよりも、まずは早く気軽に相談いただきたいです」とのことでした。
弁護士に相談するといくらかかるのか?
弁護士に相談するという場合には「いくらかかるのか?」が気になりますね。
鏑木弁護士にうかがったところ、市民向けの相談に関しては「一般的には最初の法律相談については、30分間で5千円+消費税としている例が多い」とのこと。
なお、前述の『法テラス』の民事法律扶助制度を利用することで、一定の収入・資産の基準を満たす人については、無料法律相談や弁護士・司法書士費用等の立替が受けられます。
弁護士への相談を考えている人に
鏑木弁護士に「弁護士への相談を考えている人」へのメッセージをいただきました。
法律は万能ではありません。今、あなたの抱えている悩み、不安、生きづらさ。これらをすべて法律が解決できるわけではないと思います。
でも、その悩みの中には、法律問題が隠れていて、弁護士に相談することで、悩みが軽くなる、解決の糸口が見つかることがあります。
法律で解決できることと、そうでないことが整理されて、これから前に進んでいくための見通しをつけることができます。
勇気出して弁護士に相談したけど、法律の問題ではなかった。そういうこともあるでしょう。でも、それでもよいのです。
法律相談は特別なものではありません。
体調が悪くなったら病院で相談するように、スマートフォンの調子が悪くなったら窓口や電話で相談するように、もっと気軽に、悩みを相談できる場所です。
あなたの悩みをぜひ、弁護士に聞かせてください。
弁護士に相談するというとハードルが高そうですが、法的に解決可能かもしれない問題を抱えた時には、とにかく早く相談したほうがいいようです。皆さんも「困ったらまずは相談」を心掛けましょう。
[文/高橋モータース@dcp・構成/grape編集部]