「笑ったまま終わるはずがない」 楽しいホームドラマから急降下『しあわせな結婚』第3話
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SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、イラストレーターの渡辺裕子(@satohi11)さん。
2025年7月スタートのテレビドラマ『しあわせな結婚』(テレビ朝日系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。
渡辺裕子さんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
15年前の転落死事件の再捜査が始まった。当時の記憶がなく、婚約者を自分が殺したのか殺していないのか覚えていない妻・ネルラ(松たか子)を守り抜く決意をした原田幸太郎(阿部サダヲ)。
しかし、「真実を追求し、公益を守る法律家としての生き方を変えられるのか」とネルラに問われ、幸太郎は絶句してしまう。
そんなある日、幸太郎は鈴木家恒例の舞鶴旅行に参加することになる。
ネルラの父親・寛(段田安則)に「どうかネルラを守り通してやってくれ」と頭を下げられて一緒に泣き、家族全員で温泉に入ったり釣りをしたりしているうちに、幸太郎は鈴木家の一員として受け入れられていく。
結婚式を挙げていないふたりは、弟・レオ(板垣李光人)の勧めでウェディングフォトを撮ることになったが、撮影の最中、ネルラは突然倒れてしまう。
腕枕から抜けなくなる腕。幸太郎とレオの顔の大きさの差。女将の帯に隠されているピッタリサイズのサイン色紙。カラオケの途中で止められてしまう幸太郎。
思わず笑ってしまうコミカルなシーンが何度も出てくる第3話。そして鈴木家に溶けこんでいく幸太郎の様子に、心が温かくなる瞬間がたくさんあった。
それだけならタイトル通り『しあわせな結婚』だし、すてきな『ホームドラマ』なのだが、笑えば笑うほど「絶対こんなに笑ったまま終わるはずがない」と、肩に力が入ってしまうのはなぜなのだろう。
今回、これまでの「あの位牌は誰のものか」「舞鶴とは」という疑問の答えが一気に明らかに。
もうひとつの位牌は6歳で亡くなったネルラの弟・五守のもので、彼の死の痛みは、ネルラと叔父・孝(岡部たかし)が負っていた。
そして舞鶴は父親と叔父の故郷で、五守の命日に旅行に行くのが鈴木家恒例の行事。
とても結束が固い鈴木家。
レオを出産した時の母親の死と、その一年後の五守の事故死という、大きな悲しみの連続で心を閉ざしてしまったネルラを救うには、お互いの結びつきを普通の家族以上に強くして、外からの侵入を防ぐ『彼らの城』を作るしかなかったのかもしれない。
『外』からやってきた人間・幸太郎が、そんな強固な鈴木家の信用テストをパスして、舞鶴への家族旅行へ同行するほど『家族』になっていく様子は、見ていてなんともうれしくなった。
父親にネルラを託されてふたりで泣いてしまうところも、カラオケでネルラの名を入れた替え歌を照れながら歌わされるところも、新しい家族が生まれていく過程を見せられているようで、とっても『ホームドラマ』だった。
なのにどうしてこんなに心がざわつくのか。
この一家がやっぱり何か『変』に思えて、その違和感が消えない。
海の事故で亡くなった子どもの命日に、違う場所ではあるが、『海』に来たくなるものなのだろうか。
ネルラの母親も7月が命日のはずだけど、彼女のことは誰も口にしないのはなぜだろう。レオの前では話さないというルールなのだろうか。
「どうして…」と思うことはいくつもあるけれど、幸太郎に心を許していないように見えたレオが、ウェディングフォトの提案をしてきたことにホッとして、一瞬心のざわめきを忘れてしまう。
それにそのフォトセッションがおかしすぎる。
「エクスタシージャンプ!」などと煽られて言われるままにカメラの前で連続ジャンプするふたり、あまりにもナイスポーズ。
ゲラゲラ笑って見ていたら、血のように赤いバラを抱いたネルラは倒れ、さっきまでのコミカルな空気は一変。
そして、15年前のことを部分的に思い出したのに黙っていたネルラと、つい尋問口調になってしまった幸太郎の間に決定的なヒビが入り、幸太郎がまた一人暮らしの部屋に戻ってしまうエンディング。
ジェットコースターで真下に落ちたような急展開と衝撃があった。
あんなに鈴木家と仲良くなったのに。家族旅行にも行ってウェディングフォトも撮ったのに…。
初めて会った日、幸太郎は病院の窓から、こちらを振り返るネルラを見つめた。
鈴木家のマンションから出ていく夜、幸太郎は部屋の窓を振り返るけれど、ネルラはそこにはいない。
『弁護士と依頼者』のようになってしまったふたりは、元の『夫と妻』に戻れるのか。
「絶対こんなに笑ったまま終わるはずがない」という予想は当たったけれど、ここまで笑いが消えるとは思っていなかった。
そして新たな謎、事件の日にネルラが見た、横たわる婚約者・布勢夕人(玉置玲央)の向こうにいた人物はいったい誰なのか。
「あんな雰囲気の人が、このドラマにいただろうか…」と思ったら、ひとりいた。
実は今回一番驚いたのは、次週予告で映った黒川刑事(杉野遥亮)の警察官姿。
15年前にすでに警察官になるくらいの年だったとしたら、彼があの謎の男だったとしても、年齢的には変ではない。
「この世には、裁かれなければならない人間がいるんです」
これが、彼自身のことだったらどうしよう。
それにしてもあのカラオケ大会は最高だった。またみんなで歌える日が来ますように。
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『しあわせな結婚』出演の阿部サダヲ・松たか子の取材会も
grapeでは、阿部さんと松さんが出席した取材会の様子も公開しています。
お互いの好きなところを聞かれた松さんは、なんて答えたのでしょうか…。また松さんの回答に対する阿部さんの反応も必見です。
松さんと阿部さんの回答は、こちらの記事からご覧ください。
さらに、脚本家の大石静さんも交えた取材会の記事では、大石さんから見た2人の芝居についても語られています。
ドラマと一緒に、お楽しみください!
[文・構成/grape編集部]
渡辺裕子
SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。
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