盗撮カメラを仕掛けやすい場所は? 防犯のプロの解説にゾッとする
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厳しい残暑で、まだまだ薄着や軽装で過ごす人が多い、2025年9月下旬。肌の露出が増えるこの季節は、盗撮犯にとって狙いやすい環境が広がるともいえます。
被害を防ぐために有効なのは、一度だけ犯罪者の視点で考えてみることです。
もし自分が盗撮犯だったら、どんな場所で盗撮を狙い、どんな空間にカメラを仕掛けるでしょうか。
不快で不適切な想像ですが、この視点を持つと、私たちが普段見落としがちなリスクに気づくことができます。
本記事では元警察官である筆者が、盗撮犯が『狙う場所』と『カメラを仕掛けやすい場所』を解説し、あわせて日常でできる防犯対策を紹介します。
盗撮犯が狙う場所
まず盗撮犯が狙う場所は、どんなところなのでしょうか。
エスカレーター
盗撮がもっとも多く発生するのがエスカレーターです。階段状になっているため、高低差によって通常の視線では届かない角度から盗撮が可能になります。
さらに、人の流れが止まらず、立ち止まったり振り返ったりしにくい構造のため、違和感に気づきにくいのです。
筆者が警察官として盗撮事案を担当していた際も、エスカレーターでの発生は非常に多く、典型的な犯行現場といえました。
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電車やバスなどの公共交通機関
エスカレーターと並んで発生が多かったのが電車やバスの車内。混雑によって人と人が密着する状況は、不自然な接触や不審な動作に気づきにくく、犯人にとって隠れ蓑になります。
特にラッシュ時や乗降のタイミングでは周囲の視線が分散し、短時間での犯行が可能に…。
筆者の経験でも、公共交通機関の中での盗撮は数多く検挙事例があり、被害が繰り返し発生する場所でした。
商品が雑多に置かれた店舗
意外に盲点となるのが、商品が所狭しと積まれた店舗。棚が高い、通路が狭い、人の出入りが多い環境は死角を生みやすく、商品や什器(じゅうき)に紛れて不審な行動が目立ちにくいのです。
店内のにぎやかさや雑多さに紛れて、被害者も違和感を覚えにくく、発見が遅れるケースがあります。
実際に筆者が担当した案件の中でも、こうした陳列の多い店舗での盗撮事案は少なくありませんでした。
特に書店などは、被害者も本に集中することから不審者の行動に気づきにくい傾向があり、発生も多かった場所です。
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盗撮カメラが仕掛けられやすい場所
次に、盗撮カメラが仕掛けられやすい場所はどんなところなのか、見てみましょう。
公共トイレ
個室という密室性と、換気口や荷物フックなどの死角が多いことから、仕掛けられるリスクが高い場所です。
更衣室・試着室
着替えという無防備な瞬間が生まれ、鏡やカーテンレールなどに小型カメラを隠される事例が多く見られます。
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ジムや温浴施設の脱衣所
裸や薄着になる場所であり、スタッフの目が届きにくい時間帯が狙われやすいのが特徴です。
ホテルや民泊の客室
家具や家電が多く、擬装されたカメラが紛れ込みやすい環境です。民泊では管理者が常駐していないこともあり、発見が遅れるケースがあります。
行動とチェックの『習慣』で防ぐ!防犯対策
最後に盗撮されないための防犯対策を紹介します。
狙われやすい場所での行動習慣
まず何よりも大切なのは、『ながらスマホ』をしないことです。エスカレーターや電車内では気が緩みやすく、スマホやイヤホンに集中していると周囲への注意力が下がります。
実際に盗撮は、被害者自身が気づかず、保安員や第三者によって発見されるケースが多くありました。だからこそ周囲に意識を向けるという基本が、もっとも重要な防犯対策になります。
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また、バッグは身体の前に持ち、背後に死角を作らないようにしましょう。これは不審な接触に気づきやすくするためです。
不自然に後ろから接近してくる人がいれば、立ち位置を変える、声を出すなどの行動も有効といえます。
仕掛けられやすい場所でのチェック習慣
トイレや更衣室を利用する際には、不自然な穴や異物がないかを確認する習慣を持ちましょう。
トイレのドア、窓の周りや生理用品のゴミ箱なども、ひと通り確認することをおすすめします。
宿泊施設では、鏡やコンセント、照明などをひと通り点検することが有効です。
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いずれの場所でも共通するのは、違和感を無視しないことです。もし不審な物を見つけても触らず、写真で記録を残し、管理者や警察に通報してください。
周囲に注意を向ける意識を持つ!
盗撮は『エスカレーターや電車のように直接狙われる場面』と『トイレや宿泊施設のようにカメラを仕掛けられる環境』の両方で発生します。
どちらも共通しているのは、ほんの一瞬の油断や違和感の見落としが被害につながるということです。
筆者が現場で見てきた事案でも、被害者本人が気づかず第三者が発見するケースが多くありました。
それだけに、周囲に注意を向ける意識と、環境をチェックする習慣が大切。
犯罪者の視点を一度だけ想像することは不快な作業ですが、防犯の第一歩です。
狙われやすいシーンと仕掛けられやすい環境を知り、日常の小さな行動に落とし込むことで、被害を大きく減らすことができます。
記事執筆 りょうせい
元警察官。警察歴10年。
交番勤務を経て、生活安全課の捜査員として勤務。
行方不明やDVなどの「人身関連事案」を対応しつつ、防犯の広報・企画業務を兼務。
現在は警察の経験を生かし、Xや音声配信(StandFM)にて、防犯情報を発信中。
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[文・構成/りょうせい]