「なんか…人って優しい」電車の中で見つけた小さな優しさ 駅のトイレ修理をするおじいさんに学んだこと
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
きっと世界は優しさに満ちている
銀座線に乗っていたときのこと。バギーに乗っていた赤ちゃんがぐずり出しました。
お母さんは小さいタオルを取り出し、赤ちゃんの顔にのせたりとったり、「いないいないばあ」を始めました。
赤ちゃんの機嫌はよくなり、けらけら笑い出しました。すぐそばにいたおじいさんがニコニコして、赤ちゃんをあやしています。
世界は安心。まわりの人のこのような心遣いは、赤ちゃんにそんなメッセージを送っているような気がします。
そのおじいさんは重そうな大きなリュックを床に置き、片手にはくるくると巻いたマットのようなものを持っていました。
近くの席が空くと、私に「座ってください」と言いました。
いえいえ、どうぞお座りください、と伝えると、次の駅で降りるから大丈夫です、とにっこりされました。
「私は、駅のトイレの修理をしているのです。駅のトイレはよく壊れるんですよ」
そう言って、リュックを指差し、
「ここに修理道具が入っているんです。マットは、床が汚れないために持っていきます」
と。
「オムツを流す人もいれば、トイレットパーパーを大量に使う人もいるので、トイレが詰まってしまうんですよね。すぐに直さないとね、みんな困るでしょう?だから、結構忙しいのです」
思わず、「ありがとうございます」と言いました。
それがその場に相応しい言葉だったかどうかわからないのですが、思わず。おじいさんは「これから中野坂上の現場です。行ってきます」と言って、赤坂見附駅で降りていきました。
ホームで重そうなリュックを「よっこらしょ」と背負って、おじいさんは歩いていきました。
なんか、人は優しい。
ほんの一駅の間のことでしたが、日常のささやかなあたたかい場面は、優しくあることの尊さを見せてくれました。
気に留めなければなんでもないことなのですが、ふっと気持ちを向けてみると心に触れる場面があるのですね。
誰もがそれぞれの人生を懸命に生きている。
自分と同じようにそれぞれの悲しみや喜びがあり、それぞれの物語を生きている。
そんなことを改めて思うと、自分も優しくあろうと気持ちが新たになります。
そんなことにふっと気づくと、世界はささやかでも優しさに満ちていることを感じるのです。
いのちを紡ぐ言葉たち かけがえのないこの世界で
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※記事中の写真はすべてイメージ
[文/吉元由美 構成/grape編集部]