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「なんか…人って優しい」電車の中で見つけた小さな優しさ 駅のトイレ修理をするおじいさんに学んだこと

By - 吉元 由美  公開:  更新:

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ベビーカーに乗る赤ちゃんの写真
吉元由美の写真

作詞家

吉元由美

作詞家、作家。作詞家として1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛けた。

吉元由美の『ひと・もの・こと』

作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。

たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。

きっと世界は優しさに満ちている

銀座線に乗っていたときのこと。バギーに乗っていた赤ちゃんがぐずり出しました。

お母さんは小さいタオルを取り出し、赤ちゃんの顔にのせたりとったり、「いないいないばあ」を始めました。

赤ちゃんの機嫌はよくなり、けらけら笑い出しました。すぐそばにいたおじいさんがニコニコして、赤ちゃんをあやしています。

世界は安心。まわりの人のこのような心遣いは、赤ちゃんにそんなメッセージを送っているような気がします。

赤ちゃんと母親の写真

そのおじいさんは重そうな大きなリュックを床に置き、片手にはくるくると巻いたマットのようなものを持っていました。

近くの席が空くと、私に「座ってください」と言いました。

いえいえ、どうぞお座りください、と伝えると、次の駅で降りるから大丈夫です、とにっこりされました。

「私は、駅のトイレの修理をしているのです。駅のトイレはよく壊れるんですよ」

そう言って、リュックを指差し、

「ここに修理道具が入っているんです。マットは、床が汚れないために持っていきます」

と。

「オムツを流す人もいれば、トイレットパーパーを大量に使う人もいるので、トイレが詰まってしまうんですよね。すぐに直さないとね、みんな困るでしょう?だから、結構忙しいのです」

思わず、「ありがとうございます」と言いました。

それがその場に相応しい言葉だったかどうかわからないのですが、思わず。おじいさんは「これから中野坂上の現場です。行ってきます」と言って、赤坂見附駅で降りていきました。

ホームで重そうなリュックを「よっこらしょ」と背負って、おじいさんは歩いていきました。

リュックを背負う男性の写真

なんか、人は優しい。

ほんの一駅の間のことでしたが、日常のささやかなあたたかい場面は、優しくあることの尊さを見せてくれました。

気に留めなければなんでもないことなのですが、ふっと気持ちを向けてみると心に触れる場面があるのですね。

誰もがそれぞれの人生を懸命に生きている。

自分と同じようにそれぞれの悲しみや喜びがあり、それぞれの物語を生きている。

そんなことを改めて思うと、自分も優しくあろうと気持ちが新たになります。

そんなことにふっと気づくと、世界はささやかでも優しさに満ちていることを感じるのです。

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※記事中の写真はすべてイメージ


[文/吉元由美 構成/grape編集部]

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