衝撃とやりきれなさ… やっぱり野木亜紀子のドラマ『ちょっとだけエスパー』2話【考察】
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【考察】目黒連はもしかして… 『ザ・ロイヤルファミリー』第3話世界一の馬を目指す男たちの熱い物語『ザ・ロイヤルファミリー』第3話を深掘りします。妻夫木聡さん演じる栗須と松本若菜さん演じる元恋人・加奈子さんの過去と未来の関係性に注目。なぜ別れたのか、そして夢を追う「同士」として再び並走するのか、イラストレーターの渡辺裕子さんが徹底考察します。さらに、次週予告に登場した目黒蓮さんの正体も考察しています。

耕造が贈った高級腕時計が示唆するのは… 『ザ・ロイヤルファミリー』第2話妻夫木聡さん演じる主人公の涙が、世界一の馬を誕生させる! 第2話で繰り広げられたあまりにも熱いレースシーンをイラストレーターが徹底解説。社長の妻が仕掛ける裏切りや、競馬初心者である主人公の「心から馬を愛する心」が広中調教師を動かす。しかし、社長から贈られた高級時計が鎖に見える真意とは。
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- テレビ朝日






SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。
2025年10月スタートのテレビドラマ『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。
かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
『ちょっとだけエスパー』を見ていて興味深いのは、エスパーそれぞれの能力のリアリティに妙に納得してしまうところだ。
文太(大泉洋)の、手で触れる相手の心が読める、桜介(ディーン・フジオカ)の花を咲かせる、円寂(高畑淳子)のゆるく温める、半蔵(宇野祥平)の動物にお願いする。
突飛に見えるけれども、世の中には人の心が読めるみたいに察しのいい人も、緑の指と言われるように植物を育てるのが上手い人も、変に体温の高い人も、とかく動物になつかれる人も、確かにいる。
彼らの能力もその延長なんじゃないかと思うと、普通の人プラスαなエスパーたちの奮闘が友人や家族のようで、より愛おしく見えてくる。
横領で会社をクビになり、妻も去り家もなくし、絶望の淵にあった文太は、ノナマーレという会社に採用される。
採用の条件は謎のカプセルを服用してエスパーになること。
仕事は会社から与えられるミッションを達成し、世界を救うこと。
訳も分からぬまま文太は四季(宮﨑あおい)と名乗る女性と夫婦を装って同居を始め、他のエスパーたちとも出会う。
四季は愛情深く、仲間のエスパーたちもみんな気のいい仲間だが、何かがおかしい。
そんな文太のスマホに、今日も不可解なミッションが届くのだった。
衝撃のラストに感じる『野木脚本』
初回のミッションは偶然から幸福のきっかけを掴ませるものだったが、今回のミッションは『悪事を行おうとする人間を引き戻す』こと。
贋作を売る決意をした売れない画家・千田守(小久保寿人)が、画商と会う前に文太たちはあの手この手で邪魔をする。
その邪魔がことごとくユルくて笑ってしまうのだが、そのユルい笑いをぶっちぎって、車を運転する四季こと宮﨑あおいが可愛いのである。
「お客さん。ドライバー歴20年のあっしが、なんとしても追いついてみせやす!」
ベテランドライバーのおっさんぽく言ってニヤリと笑う、その可愛さに思わず悶絶してしまう。
すでに『大物俳優』と言ってもいいキャリアの持ち主でありながら、この国のドラマや映画を愛する私たちは、いまだに宮﨑あおいに欠乏している。
その気持ちは、さながら遠くで見つめる片思いの相手のようだ。世間の要望に比して、つくづく寡作なひとだと思う。
どんな役であれ、彼女の姿を画面やスクリーンで見るたびに、貴重で清らかな何かを見たような、心がじんわりと満たされるような幸福な心持ちになる。
四季は愛らしいが、深い部分で壊れた不穏さを併せ持つ複雑な魅力の女性である。宮﨑あおいの魅力の引き出しの数にこれほど相応しい役は早々ない。
さて、贋作を売ろうとした千田は、黒たまごという創作のインスピレーションを得て、画家としてのプライドを取り戻して絵を売らずに持ち帰る。
そして文太たちには『千田守は画家として一生を終える』と結果の連絡が入り、一同は喜ぶ。
…だが。
「よかった、エスパーたちの苦闘が報われた!」と思った直後、物語は一気に暗転する。
救われたはずの画家は、文太らの足止め工作の後始末が原因で、自動車事故で亡くなってしまう。
あまりの展開に、自分含め呆然とした視聴者は少なくないはずだ。
確かに千田は『画家として』亡くなった。それはそうなのだけれど。
衝撃とやりきれなさが頭の中でぐるぐる回る中で、犯罪者として生きることと、画家として希望を抱いた状態で死ぬこと、どちらが本人の人生にとって本望だっただろうかなどと考えてしまう。
そして思い浮かべてしまうのだ。このドラマの脚本家・野木亜紀子が書いた名作ドラマ『アンナチュラル』(TBS系)の第5話『死の報復』で、解剖医の中堂系が雪空の中で囁いたひと言を。
愛する人を殺した犯人に報復すべく、ナイフを振り下ろした男を中堂が評した言葉「思いを遂げられて本望だろ」を。
8年の時間を経て、二つの作品が深い地中の根で繋がっているかのように。
開始前の取材では「楽しいことをやりたかった」とコメントしていた脚本の野木亜紀子だが、やはり気楽に楽しいだけの作品では終わらなさそうだ。
いや、楽しいのだ。間違いなく楽しい。
車の中で尿意を我慢する大泉洋の顔芸も、何かあっちゃ「花咲かせとく?」と繰り返して断られるディーン・フジオカのとぼけぶりも楽しすぎる。
でも、見た翌日、翌々日にふと「人生の選択って何だろうな」と考えてしまう。納得いく終わり、幸福ってなんだろうなんてことを、気がつくと考えている。
これが「やっぱり野木亜紀子のドラマなんだよなあ」と思う。
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制作発表で明かしていたドラマの見所は?
同年10月12日、初回放送に先駆けて、主要キャスト陣が集合して制作発表が行われました。
記者から「特に注目してほしい場面は?」と聞かれると、宇野さんは「大泉さんがモノマネをする時があって…」とコメント。
どうやら2話だったようですが、その場面は泣く泣くカットされてしまったのかもしれません。
しかし、岡田さんからも「大泉さんがモノマネをするシーンがあった」とのエピソードが飛び出していました。
もしかしたら今後、大泉さんが俳優の福山雅治さんのモノマネをしているシーンが見られるかもしれませんよ!
そんな制作発表のトークをもっと楽しみたい人は、こちらの全文レポートをチェックしてみてくださいね。
【全文レポート】大泉洋、撮影中に福山雅治のモノマネをして岡田将生を困らせる
【全文レポート】大泉洋、北村匠海に「『あんぱん』気分が抜けてない」と指摘!大爆笑の制作発表
[文/かな 構成/grape編集部]
かな
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