美少女として生きる自分 VTuber『バーチャル美少女ねむ』×着ぐるみアーティスト『たくろう』対談
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臨時休業をした整体院 入り口にあった『貼り紙』に「これは仕方ない」「いい職場」2024年11月14日に、ある理由で臨時休業をした、同店。 「お許しください」といった言葉とともに、臨時休業を知らせる貼り紙を、Xのアカウント(@msgCura)で公開したところ、大きな注目を集めることになりました。
寒いからヒーターを出したのに… 夫の部屋の光景に「もう1つ買うしかない」もんちこ(@tatatano129)さんの夫は、仕事部屋にあるデスクの下に、足元ヒーターを設置。しかし、家族の一員に占拠されてしまいます。
自分たちにとっての『美少女』とは何か
ミラさんを含む3人に質問です。あなたにとっての『美少女』とはなんですか?
実は、『美少女』というものに出会ったのはわりと最近で。私はロシアとスイスで育ちましたが、どちらも漫画やアニメの文化が展開した国ではなくて…。
漫画を読み始めた頃は、どちらかというとBL(ボーイズラブ)や末広丸尾さんの作品に興味があって、ここでいう『美少女』が登場する作品ではなかったんですよね。
私が『美少女』に出会ったのは、Vtuberの研究をし始めたのがきっかけでした。最初はかわいい姿で、若くて、無邪気に見えるだけのものだと思っていました。
アバターを選ぶ際は、美少女の姿になることがしっくりこなかったため悩み続けましたね。西洋では二次元キャラクターが浸透していないので、長い間『美少女』と現実の女性を関連付けてしまっていたんです。
私はわりと自立をしている女性なので、無邪気な印象とは程遠くて、『美少女』のイメージとかけ離れていて…。
なので、バーチャル空間で『美少女』になろうとした時は、現実の女性としての自分を無視している感覚になりました。今思えば、その考えは間違っていたのですが…。
ねむさんや、ほかのVTuberと接しているうちに、『美少女』は自分が思っていた以上に幅広い意味があると気付いたんです。
『美少女』というのは生物学上の女性に限りません。つまり『美少女』は『かわいい』の概念であって、私たちの社会から遠く離れた、幸せがあふれる温かい世界であり、可能性の世界です。
それを理解したとたん、『美少女』がいかに開放的な存在であるかを知ったんです。つまり私にとって『美少女』とは『かわいい』の概念であり、開放的な体験、楽しくて遊び心があって優しくて温かい存在だと思っています。
例えば丸尾末広さんの漫画『少女椿』は、美少女の特性や儚さをうまく表現していて、ある意味、『美少女』の本質を表現していると思います。
いわゆる萌え要素がなくても『美少女』と呼ぶ場合があり、球体関節人形などの耽美的な表現においても大きな影響力があります。
もしかすると、『美少女』は日本語のあいまいさをよく表している言葉かもしれないですね。
では、ねむさんにとっての『バーチャル美少女』とはなんですか?
私は、『美少女』とは日本のサブカルチャーの文脈における二次元世界に登場する美少女キャラのことだと解釈しています。
つまり『かわいい』が具現化し、みんなに愛される…存在するだけで物語になるような、偶像(アイドル)的な存在です。
なので、現実世界の女性や少女とは私は切り離して考えていますね。
バーチャルの力を借りて、本来現実には存在しないはずの『美少女』に強制的に進化する試みが『バーチャル美少女』『バ美肉(バーチャル美少女受肉)』だと思っています。
AIの限界が見えてきた昨今、これこそが超人(ポストヒューマン)を目指す試み、つまりシンギュラリティだと私は考えています。これをテーマに私が昨年執筆した小説が『仮想美少女シンギュラリティ』です。
バーチャル美少女の概念を表現する言葉は『バーチャル美少女』や『バ美肉』、『バ美肉おじさん』など、いろいろありますよね。
それぞれの言葉に違いはあるのでしょうか?あるとしたら、使い分けが必要なのですか?
『美少女』という言葉を聞くと、サブカルチャー界隈の人は『アニメや漫画に出てくる二次元キャラクター』を想像できますが、『若くてきれいな女の子』と誤解されそうな時は『バーチャル美少女』という言葉を使っています。
『バ美肉』とは、バーチャル技術を活用して、まさしくそのバーチャル美少女になろうとする試みのことです。そして『バ美肉おじさん』とは、中の人が男性であることを示唆(しさ)する面白いパワーワードですよね。
『バ美肉』という言葉が広まったのはいいのですが、『中の人』の性別はバーチャル美少女にとって重要だと考えていないため、個人的にはそんなに好きな表現ではありませんね。
では、たくろうさんにとっての『美少女着ぐるみ』とはなんですか?
『美少女』という概念についての考え方がこの数年で大きく変わっているのではないかと思っています。
着ぐるみにおいては、今までは二次元キャラでの価値観が主流でしたが、今は「ドールになりたい」などもっと幅広い価値観での『美少女』になっているように感じています。
たくろうさんにお聞きします。Vtuberの間では『バーチャル美少女』や『バ美肉』、『バ美肉おじさん』などバーチャル美少女を表す言葉がいくつかありますが、美少女着ぐるみの間でも似たようなことがあるのでしょうか?
美少女着ぐるみの存在はほぼリアルでの表現なので、そういうことは私の知る限りないですね。
今はだいぶ変わりましたが『中の人』について言及するのはタブーであるのが基本なので、おじさんなのか、おばさんなのかをあまり触れてくる人はいない…という感じです。
あえて『美少女』の姿を選んだ理由
では、お2人が『美少女』の姿になりたいと思った理由を聞かせてください。
実は、始めは深い理由はなくて…。「バーチャル世界でどんな姿になろう」と考えていた時、まっさきに思いついたのが美少女キャラクターでした。
なぜなりたいと思ったか…今考えると、もともと漫画やアニメの美少女に漠然とした憧れがあったのかもしれません。
「実は『美少女』の姿になることに、こだわりがないのかもしれない」と思うことがよくあります。
特に私は『カッコいいもの』や『男性らしいもの』になるのにすごく労力を費やすので、それに比べたらかわいい女の子になるほうが簡単にクオリティの高いものになれると思って。
なぜ『少女』ではなく、あえての『美少女』なのでしょうか?
『かわいい』という概念に関係があるとしたら、それぞれのコミュニティで、どのようにとらえられているか教えてください。
一般的に『美少女』という表現には特別なニュアンスが含まれていて、例えば『美少女戦士セーラームーン』では、あえてタイトルに『美少女』と付けていますよね。元は、分かりやすく表現する記号として普及したのかもしれません。
『かわいい』という言葉は幅広い使われ方をしているので「人それぞれ全然違う受け取り方をしているのでは?」と思っています。
『美少女』という言葉は、サブカルチャーの文脈で『アニメや漫画に出てくる二次元のかわいいキャラクター』という意味で私は使っていますね。
現実世界の『少女』とは切り離して捉えています。