美少女として生きる自分 VTuber『バーチャル美少女ねむ』×着ぐるみアーティスト『たくろう』対談
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『美少女』でいる時、リアルの自分が持つ生々しさを隠す工夫はしているのでしょうか?
していません。『美少女』を演じるというよりは、肉体という物理アバターを脱いで、魂の姿でありのままの魅力が開放されたのが『美少女』だと考えています。そこにタブーはありません。
例えば、私はビールや仮想通貨の取引を趣味と公言していて『少女』とやや矛盾していますが、特に問題ないと思っています。
むしろ、現実にいる美少女よりも『ビールや仮想通貨の取引の話ができる美少女』のほうが、バーチャルならではの存在として視聴者に魅力的に見えると思っているんです。
着ぐるみを着ている人を見る時、ほとんどの人は注目しますし、いろいろ考えますよね。「中の人はおじさんかな?」と警戒心を持つ人もいますし…。
だから、隙を見せないように絶えず気を使っています。例えばキムタクも同様に、『キムタク』を演じていない素の自分を見せないよう気を使っていると思います。
ねむさんが行ったアンケートによると、3分の1の回答者が「バーチャルキャラの『中の人』の身体の一部を見ることに抵抗感がない」を選択したそうですね。
今後、現実の自分の肉体を世間に露出する予定はありますか?ないとしたら、それはやはり「夢を壊してしまう」という理由なのでしょうか。
基本的に露出する気はないです。理由は、やはり現段階で私のリアルな属性をさらしてしまうと、色眼鏡で見られてしまって『バーチャル美少女ねむ』の「誰でも美少女になれる」というメッセージ性が薄れると考えているからです。
ただ、私はバーチャルの姿こそが実態だと考えているので、いずれは「中の人の肌が映っていようがいまいが気にしない」という世界が作れることが理想です。
ねむさんはバーチャルを通して体験されていることを『ココロコスプレ』と表現していますが、どういう意味なのでしょうか?
『ココロコスプレ』は、クラウドファンディングで楽曲とMV制作を行った、『バーチャル美少女』『バ美肉』をテーマにした歌のタイトルです。
おっしゃるとおり、実は『ココロコスプレ』は単に曲の名前というわけではなく、「バーチャルで違う自分になること」を指す、新しい言葉として広まってほしいと考えています。
2020年にNHKの番組『ねほりんぱほりん』の『バ美肉』特集にゲスト出演しましたが、『バ美肉』という言葉はキャッチーではあるものの、ちょっとトゲトゲしい語感ですし、暗に中の人が男性だと示す含みがあると思っています。
私は『中の人』の性別を問わず、何ならAIや企業や概念でさえも『バーチャル美少女』として受肉してほしいので、もっと優しい、誰でも使いやすい気持ちのいい言葉として『ココロコスプレ』が広まればいいな…と思っています。
たくろうさんは、ご自身の着ぐるみの体験について、ねむさんの考えを聞いてどのように思いましたか?
着ぐるみはリアルでしかないので回答にはならないかもしれませんが、バーチャルを通して体験をしてみて、ねむさんの感覚と同じかを知りたい気持ちや好奇心などはとてもありますね。
もしよろしければ、お2人それぞれボイスチェンジャーを使う理由、もしくは使わない理由を教えていただけますか?
使わないことにこだわりはないですね。必要があるなら使えばいいと思いますが、言葉使いなどに『女の子じゃない要素』が含まれていると、それをきっかけにガッカリするなど、かなりリスクが高いと思っています。
言葉を発しないと日本語が分からない人と円滑にコミュニケーションをとることができますが、英語ができる人が着ぐるみを着る場合は、積極的に使ってみるのも手かもしれません。
ですが結局、言葉のチョイスがダサいとか、かわいくないとか…そういう問題にぶつかる可能性はあると思います。
私は基本的にボイスチェンジャーを使っています。リアルタイムでのコミュニケーションは、バーチャル美少女として重要な要素の1つだと思っているんです。
美少女VTuberの中には、男性の声を女性の声にする技術を使っている人もいますが、使いこなすには難易度が高くて…。
私はあくまでも『誰でも気軽に美少女になれる世界』を目指しているので、簡単なボイスチェンジャーにこだわっています。
今後、ねむさんとたくろうさんがコラボレーションをする可能性はありますか?
例えば、ねむさんが『美少女ねむ』の着ぐるみでリアル世界のイベントに出たり、『ひょっかめ』がバーチャルで出店したり、たくろうさんが『キグルミアイテム』をつけてバーチャルで出かけたり…。
面白いですね!ぜひ共演してお話したり、配信したりと挑戦してみたいです。
ただ、着ぐるみは非常にハードルが高そうですね。私は家族にも秘密にしていますので、隠し場所に困りそうです(笑)
VRの世界には、着ぐるみの形のアバターで活動している人もいっぱいいます。もしよかったら、VRの世界をご案内したいです!
もちろん大いに可能性はあると思います!バーチャル環境で『お面』を売る店を営業し、バーチャルとリアルのクロスオーバーを楽しむ未来があると信じています。
とても興味深い対談でした。本日はお時間ありがとうございました!
【バーチャル美少女ねむ】
ウェブサイト:バーチャル美少女ねむの人類美少女計画
Twitter:@nemchan_nel
YouTube:ねむちゃんねる
【たくろう(ひょっかめ)】
ウェブサイト:ひょっかめ
Twitter:@hyo105okame
Instagram:hyo105okame
【Liudmila Bredikhina(ミラ)】
Twitter:@BredikhinaL
[文・構成/grape編集部]