大量に集められた紙パック、何に使われるのかというと… その後の姿に「まじか」 提供:全国牛乳容器環境協議会 By - grape編集部 公開:2026-02-26 更新:2026-02-26 エコ工場環境問題紙パックリサイクル Share Post LINE はてな 牛乳やジュースなどの容器に使われる、『紙パック』。自宅に置いてある人も多いかもしれません。 『紙パックは回収してリサイクルできる』と言いますが、一体どのように再生されているのかを知っていますか。 回収された『紙パック』のその後は…? 毎朝牛乳を飲んでいる筆者。 いつも資源ゴミに出している紙パックについて調べてみると、『トイレットペーパーやティッシュペーパーに生まれ変わる』という情報を入手しました。 「え、紙パックからトイレットペーパー?こんなに固くて丈夫なのに、どうやって柔らかくなるんだ?」 疑問に思った筆者は、実際にこの目で確かめるべく、静岡県富士市にあるコアレックス信栄株式会社の本社工場(以下、コアレックス)を訪ねました! この工場では1日に、なんと約130万ロールものトイレットペーパーを生産しているといいます。 紙パックはどうやってトイレットペーパーになる? 案内してくれたのは、同社総合企画室係長の宇佐美さん。 まず訪れたのは『ストックヤード』と呼ばれる、古紙の保管場所です。 宇佐美さん ここには、毎日約180tほどの古紙が運ばれてきます。 筆者 え!紙パックがこんなにたくさん…!? 筆者が目にしたのは、各家庭から回収された紙パックや、お菓子の空き箱、紙袋などの『雑がみ』、さらに企業、自治体などから届いた機密文書などの紙の山。 紙パックや雑がみは、輸送しやすいよう、重さ1tほどのブロック状に固められています。 宇佐美さん 使用済みのものだけでなく、製造工程で出る紙パックの切れ端などの『工場損紙』も運び込まれます。これらも非常に高品質な紙原料なんですよ。 紙パックの工場損紙 筆者 すごい量ですね…!真ん中にベルトコンベアのようなものがありますが、あれはどこに向かっているんですか? 古紙たちが運ばれる様子 宇佐美さん 『パルパー』という機械に投入して、古紙に温水を加えることで、粗くほぐしていきます。その後は、『熟成タワー』と呼ばれる場所で、12時間ほど寝かせて、紙と『それ以外』を分離しやすくするんです。 筆者 ミキサーみたいにドロドロにしていくんですね! パルパーで溶解される古紙 紙パックの素材である『パルプ』と『ポリエチレン』は、ここで分離しやすい状態に生まれ変わると言います。 宇佐美さん コアレックスでは、バインダーやクリップがついたままの書類も、独自の技術で機密を守ったまま箱ごとリサイクルが可能です。 アルミ加工がされたカップ麺の蓋などの雑がみを含め、一般的に焼却処分される『難再生古紙』と呼ばれるものも、ここではまとめて再生できるんですよ。 次に、『リキッドサイクロン』と『スクリーン・セパレーター』という機械を通ると、分離した金属類やプラスチック類、フィルムなどがこのように取り除かれていました。 写真左:除去された金属類、写真右:除去されたフィルム類 筆者 こんなに大きなものまで!取り除かれた異物はこの後どうなるんですか? 宇佐美さん 廃プラスチックやスラッジと呼ばれる短い繊維や無機物は、グループ会社の工場で燃料として使われます。金属類は、金属の原料にリサイクルされますよ。 筆者 工程で生じた廃棄物も、無駄にならないんですね! さらに、液状になったパルプからインクを除去する『フローテーション』を経て、紙と水だけの繊維になっていきます。 フローテーションの様子(提供:コアレックス株式会社) その後、滅菌工程を経て、抄紙機(しょうしき)でパルプをすいたら、いよいよ紙のでき上がりです。 抄紙機 宇佐美さん 原料の品質によって抄紙機のスピードなどを微調整しながら、ティッシュペーパーと、トイレットペーパーのダブル、そしてシングルタイプのペーパーの原反を作っています。それぞれ紙の厚みも違うんですよ。 筆者 シングルとダブルで厚さを変えているんですね。単純に2倍だと思っていたけど、違うんだ~! こうしてでき上がったのが、直径約2.5m、幅約3mのジャンボロールです! ジャンボロールは、トイレットペーパーおよそ20,000~25,000個分にもなるそうで、身長155cmの筆者が並ぶとこの通り。 筆者 すごい大きい!集められた古紙が、こんなにきれいな白色になるんですね。 宇佐美さん 紙の質を整えるために、それぞれの古紙をおよそ同じ割合で配合しています。中でも紙パックは、強度と白さを担保するうえで、重要な役割を担っているんですよ。 宇佐美さんによると、古紙の中でも白くて丈夫なパルプを使っている紙パックは、リサイクル資源として価値が高いのだとか。 私たちが正しく分別することで、再生される製品の質が保たれているというわけですね。 このジャンボロールに、プリントや、紙をふんわりとさせるエンボス加工を施したら巻き直し、トイレットペーパーの大きさにカット。 袋詰め、梱包されていきます。 筆者 まじか…本当にトイレットペーパーになってる…! 回収された紙パックは、異物の除去や洗浄といった工程を経て、白くて柔らかいトイレットペーパーへと生まれ変わっていました! 上質な資源『紙パック』、無駄にしないためには? リサイクルが可能な紙でも、お菓子やティッシュの空箱などには『紙』、牛乳パックには『紙パック』と、異なるマークがついています。 『紙パック』は、専用の設備がある工場でポリエチレンを分離する必要があるため、正しく分別しなければなりません。 しかし、使用済み紙パックのリサイクル回収率は低く、2024年度は30.1%だと言われています。 宇佐美さん 使用済み紙パックの回収量は年々減っています。そうなると、減ってしまったぶんをほかの原料で補填する必要がでてきます。高い品質の原料であった紙パックが使えないことで、品質維持のために時間やコストがかかり、生産効率の面でも非常に苦労をするんです。 紙パックの回収量が減ってしまうと、白さや強度を担保するために、生産コストが上がってしまうのだとか。 では、私たちが日常で取り組めることはあるのでしょうか。 宇佐美さん まずは、洗って、開いて、乾かしてリサイクルに出すことです。あとは、まな板として紙パックを再利用することがありますが、それを洗ってもう1回乾かせば、古紙として出していただけるんですよ。 筆者 ニオイが残っている気がして、捨ててしまっていました…。もったいないことをしていたんだなぁ。 回収に出された紙パックの『その後』が分かったことで、貴重な資源を無駄にしないことの大切さを感じることができた筆者。 本来ならリサイクルできる紙が、処分されてしまうのは非常にもったいないですよね。 環境省請負調査の結果から計算すると、屋根型の1000㎖の紙パック1枚をリサイクルすれば、燃えるゴミとして処理した場合と比べて、CO2を半分以下に削減できるとのこと。 使用済み紙パックをリサイクルすることは、地球環境のためにもつながります。 あなたも日々の生活の中で、意識してみてはいかがでしょうか。 『紙パック』について詳しく知りたい 過去の記事はこちらから [文・構成/grape編集部] Share Post LINE はてな
牛乳やジュースなどの容器に使われる、『紙パック』。自宅に置いてある人も多いかもしれません。
『紙パックは回収してリサイクルできる』と言いますが、一体どのように再生されているのかを知っていますか。
回収された『紙パック』のその後は…?
毎朝牛乳を飲んでいる筆者。
いつも資源ゴミに出している紙パックについて調べてみると、『トイレットペーパーやティッシュペーパーに生まれ変わる』という情報を入手しました。
「え、紙パックからトイレットペーパー?こんなに固くて丈夫なのに、どうやって柔らかくなるんだ?」
疑問に思った筆者は、実際にこの目で確かめるべく、静岡県富士市にあるコアレックス信栄株式会社の本社工場(以下、コアレックス)を訪ねました!
この工場では1日に、なんと約130万ロールものトイレットペーパーを生産しているといいます。
紙パックはどうやってトイレットペーパーになる?
案内してくれたのは、同社総合企画室係長の宇佐美さん。
まず訪れたのは『ストックヤード』と呼ばれる、古紙の保管場所です。
ここには、毎日約180tほどの古紙が運ばれてきます。
え!紙パックがこんなにたくさん…!?
筆者が目にしたのは、各家庭から回収された紙パックや、お菓子の空き箱、紙袋などの『雑がみ』、さらに企業、自治体などから届いた機密文書などの紙の山。
紙パックや雑がみは、輸送しやすいよう、重さ1tほどのブロック状に固められています。
使用済みのものだけでなく、製造工程で出る紙パックの切れ端などの『工場損紙』も運び込まれます。これらも非常に高品質な紙原料なんですよ。
紙パックの工場損紙
すごい量ですね…!真ん中にベルトコンベアのようなものがありますが、あれはどこに向かっているんですか?
古紙たちが運ばれる様子
『パルパー』という機械に投入して、古紙に温水を加えることで、粗くほぐしていきます。その後は、『熟成タワー』と呼ばれる場所で、12時間ほど寝かせて、紙と『それ以外』を分離しやすくするんです。
ミキサーみたいにドロドロにしていくんですね!
パルパーで溶解される古紙
紙パックの素材である『パルプ』と『ポリエチレン』は、ここで分離しやすい状態に生まれ変わると言います。
コアレックスでは、バインダーやクリップがついたままの書類も、独自の技術で機密を守ったまま箱ごとリサイクルが可能です。
アルミ加工がされたカップ麺の蓋などの雑がみを含め、一般的に焼却処分される『難再生古紙』と呼ばれるものも、ここではまとめて再生できるんですよ。
次に、『リキッドサイクロン』と『スクリーン・セパレーター』という機械を通ると、分離した金属類やプラスチック類、フィルムなどがこのように取り除かれていました。
写真左:除去された金属類、写真右:除去されたフィルム類
こんなに大きなものまで!取り除かれた異物はこの後どうなるんですか?
廃プラスチックやスラッジと呼ばれる短い繊維や無機物は、グループ会社の工場で燃料として使われます。金属類は、金属の原料にリサイクルされますよ。
工程で生じた廃棄物も、無駄にならないんですね!
さらに、液状になったパルプからインクを除去する『フローテーション』を経て、紙と水だけの繊維になっていきます。
フローテーションの様子(提供:コアレックス株式会社)
その後、滅菌工程を経て、抄紙機(しょうしき)でパルプをすいたら、いよいよ紙のでき上がりです。
抄紙機
原料の品質によって抄紙機のスピードなどを微調整しながら、ティッシュペーパーと、トイレットペーパーのダブル、そしてシングルタイプのペーパーの原反を作っています。それぞれ紙の厚みも違うんですよ。
シングルとダブルで厚さを変えているんですね。単純に2倍だと思っていたけど、違うんだ~!
こうしてでき上がったのが、直径約2.5m、幅約3mのジャンボロールです!
ジャンボロールは、トイレットペーパーおよそ20,000~25,000個分にもなるそうで、身長155cmの筆者が並ぶとこの通り。
すごい大きい!集められた古紙が、こんなにきれいな白色になるんですね。
紙の質を整えるために、それぞれの古紙をおよそ同じ割合で配合しています。
中でも紙パックは、強度と白さを担保するうえで、重要な役割を担っているんですよ。
宇佐美さんによると、古紙の中でも白くて丈夫なパルプを使っている紙パックは、リサイクル資源として価値が高いのだとか。
私たちが正しく分別することで、再生される製品の質が保たれているというわけですね。
このジャンボロールに、プリントや、紙をふんわりとさせるエンボス加工を施したら巻き直し、トイレットペーパーの大きさにカット。
袋詰め、梱包されていきます。
まじか…本当にトイレットペーパーになってる…!
回収された紙パックは、異物の除去や洗浄といった工程を経て、白くて柔らかいトイレットペーパーへと生まれ変わっていました!
上質な資源『紙パック』、無駄にしないためには?
リサイクルが可能な紙でも、お菓子やティッシュの空箱などには『紙』、牛乳パックには『紙パック』と、異なるマークがついています。
『紙パック』は、専用の設備がある工場でポリエチレンを分離する必要があるため、正しく分別しなければなりません。
しかし、使用済み紙パックのリサイクル回収率は低く、2024年度は30.1%だと言われています。
使用済み紙パックの回収量は年々減っています。そうなると、減ってしまったぶんをほかの原料で補填する必要がでてきます。
高い品質の原料であった紙パックが使えないことで、品質維持のために時間やコストがかかり、生産効率の面でも非常に苦労をするんです。
紙パックの回収量が減ってしまうと、白さや強度を担保するために、生産コストが上がってしまうのだとか。
では、私たちが日常で取り組めることはあるのでしょうか。
まずは、洗って、開いて、乾かしてリサイクルに出すことです。あとは、まな板として紙パックを再利用することがありますが、それを洗ってもう1回乾かせば、古紙として出していただけるんですよ。
ニオイが残っている気がして、捨ててしまっていました…。もったいないことをしていたんだなぁ。
回収に出された紙パックの『その後』が分かったことで、貴重な資源を無駄にしないことの大切さを感じることができた筆者。
本来ならリサイクルできる紙が、処分されてしまうのは非常にもったいないですよね。
環境省請負調査の結果から計算すると、屋根型の1000㎖の紙パック1枚をリサイクルすれば、燃えるゴミとして処理した場合と比べて、CO2を半分以下に削減できるとのこと。
使用済み紙パックをリサイクルすることは、地球環境のためにもつながります。
あなたも日々の生活の中で、意識してみてはいかがでしょうか。
『紙パック』について詳しく知りたい
過去の記事はこちらから
[文・構成/grape編集部]