【婚姻届に判を捺印しただけですが 10話】「もう二度と」になる前に…・ネタバレあり
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Twitterやブログでドラマの感想をつづり人気を博している、あずきごはん(@komadorama)さんによる、新連載。
TBSで始まった2021年秋の新ドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』の見どころを、あずきごはんさん独自の視点でご紹介します。
2021年10月からスタートした『婚姻届に判を捺しただけですが』もいよいよ最終回。両想いなった明葉と百瀬は新しい壁にぶつかることとなる。
『婚姻届に判を捺しただけですが』最終回で印象的だった2つのシーン
お互いの気持ちを確かめることができた明葉(清野菜名)と百瀬(坂口健太郎)。『両想い』に慣れていない百瀬は、同僚や取引先相手に妻を自慢するなど大いに浮かれていた。
最終回の中で印象的だった展開は主に2つある。
1つ目は唯斗(高杉真宙)と百瀬がそれぞれの片想いに決着をつけるシーン。
獣医の勉強のため熊本に行くことになった唯斗。
旅立つ前、明葉に「ちゃんと幸せになってくれないと俺、今度こそ告っちゃうからね」と励ましの言葉を贈る。
最後まで献身的な唯斗に「もし熊本で道が定まったり幸せを見つけたりしたら、明葉のところに帰らなくてもいいんだよ…」と声をかけたくなってしまった。
百瀬は美晴(倉科カナ)から偽装結婚に気づいていたという旨を伝えられる。
好きな人がいたこと、想いを告げずに偽装結婚に逃げたのは臆病心からだということを話す百瀬。
彼は明葉との関わりの中で自分の弱さを知り成長していたのだ。
ここまで吐露しておきながら、好きな相手が美晴であったことは決して伝えない百瀬。
それは美晴への気遣いなのか、兄への義理立てなのか、彼なりの覚悟なのか。
そして恐らく百瀬の想いに気づいていただろうに、何も言わなかった美晴。
その判断が誰のためなのかは分からない。
しかし、百瀬の『叶わなかった初恋』が綺麗に昇華されたのは、美晴が『語らなかった』おかげでもあるのではないかと感じた。
2つ目は百瀬と明葉の最後のすれ違い。「よりを戻した後にどうするのか」という部分で価値観の差が出てしまったのだ。
百瀬と明葉には「相手も自分と同じ考えだと解釈し、きちんと対話をしない」という弱点がある。
再婚することを見越して結婚式の準備まで始めようとする百瀬。恋人同士にはなるけれど結婚は別問題だと考える明葉。
そのギャップが明らかになったのは、明葉の仕事の場面だった。
新規の取引先から仕事をもらった明葉は、自分の実力が評価された上での指名だと思って大喜びする。
しかし、事の発端は百瀬が取引先に妻を自慢した事であった。
百瀬は明葉のデザインを見せてきっかけを作っただけのようにも思える。しかし、明葉は百瀬と取引先のやりとりを知らない。
「実力で勝ち取ったと思っていた仕事は、百瀬のコネでやってきたものだった」と捉えても仕方がない。
「妻アピールをやめてほしい」「すぐに再婚する気はない」と訴える明葉に、百瀬はショックを受けるのであった。
2人の間で微妙な空気が流れる中、一緒に暮らしていた家を退去しなければならない事態になる。
最終回でも壁にぶつかる明葉と百瀬
色んなことを勝手に決めてしまう百瀬と、それに怒る明葉。2人は一度距離を置くことになる。
結婚か別居かと極端な考え方をしていた百瀬だったが、森田(田辺誠一)の話から世界の広さを知ることになる。
妻と離婚して事実婚となった森田。最初はショックを受けていたが、今はこれが自分達にとって理想の関係性だと理解しているという。
「妻の『自分の力で生きたい』って思いを奪っていたのかもしれません」というセリフが印象的だった。
一方で明葉は百瀬と離婚したこと、新居が決まるまで家に置いてもらいたいことを祖母に伝える。
お見合い結婚をして、夫が亡くなった後で「好きだった」と気づいた祖母。その口から出た言葉は重く、切実なものであった。
「会えなくなってしまったら、もう一度はもう二度とになってしまうからね」
ここで離れてしまったら『もう一度』はないかもしれない。そんな状況にも関わらず、百瀬と明葉はきちんと話をすることなく引っ越しの日を迎えてしまった。
祖母の家に置けないからとソファを売ることにした明葉。
買取査定に立ち会った百瀬はソファが持って行かれる瞬間、大切なことを思い出した。それは、ソファに刻み込まれた明葉との時間。
買い取りトラックを追いかける百瀬につい笑ってしまったが、この描写は明葉と百瀬の関係性の比喩になっていると考えられる。
大切なものというのは失って初めて気づくことが多いが、百瀬はその一歩手前で行動を起こすことができる。
百瀬は全日本鈍感選手権の覇者であり、失う前に気づくことができていたのは周囲のサポートのおかげだ。
しかし、自分の気持ちと向き合った後、即座に『正しい』行動を取れるのは百瀬自身の長所であり、明葉との関係性を続けていく上で最も大切なところだと言える。
「判を捺してこうして出会えたんだから、また判を捺してみたら、もっといいことあるんじゃないですかね?」
明葉の提案で再び判を捺すことになった2人。ドラマは最終回だが、結婚生活は続いていく。
価値観も性格も違う2人は、今後も様々な壁にぶつかることだろう。
対話を通して互いを理解し、2人だけの『形』を作っていってほしい。
それが約3ヶ月間、2人の恋愛模様を見守った一視聴者としてのただ1つの願いだ。
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[文・構成/grape編集部]