【石子と羽男 第1話 感想】「おもしろい」だけでは終わらせなかった第1話・ネタバレあり
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Twitterで人気ドラマの感想をつづり注目を集める、まっち棒(@ma_dr__817125)さんのドラマコラム。
2022年7月スタートのテレビドラマ『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』(TBS系)の見どころや考察を連載していきます。
日々の生活は、小さなトラブルで溢れている。
その問題は、誰かに相談するまでもない小さなものばかりではあるが、普通の毎日を過ごすために解決しておきたいし、予期せぬところで訴えられるなんて御免である。
とある青年・大庭蒼生(赤楚衛二)も「そんなコトで訴えます?」と、街の弁護士事務所『潮法律事務所』に駆け込んでいた。
「カフェで充電していたら訴えられたんです!」
そんな相談に向き合うのは、パラリーガル・石田硝子/石子(有村架純)と、ぎっくり腰になった硝子の父・潮綿郎(さだまさし)の弁護士代理でやって来た羽根岡佳男/羽男(中村倫也)。
『真面目で石のように頭が固い』石子は自分のルールを堅く持っており、型破りな方法で切り込む羽男とはそりが合わない。
話し合いにギリギリ到着する羽男に二度と会いたくないと思っていたところに、弁護士として本格採用されたのだ。
だが、石子も負けてはいられない。
石子はカリスマ的振る舞い方が書かれた羽男のメモを見つける。
影に隠れタイミングを見て登場したことを見破られてしまった羽男。
『クセつよ』な羽男の一強の関係かと思いつつ、堂々言い返す石子とのバランスの良さを既に感じる。
型破りな天才弁護士を演じる『羽男』と弁護士になれない崖っぷちパラリーガルの『石子』の、真面目に生きる人々の暮らしを守る傘になる、リーガルストーリーが幕を開けた。
有村架純と中村倫也の掛け合いが光る『石子と羽男』第1話
依頼人のカーキャプテンの会社員・大庭の話を聞き、二人は早速カフェを訪れ、羽男は自信満々に余裕な表情を浮かべ店長(田中要次)と対面する。
しかし引き下がらない店長を前にして、羽男は急に黙り込んでしまう。
怒鳴る声、机を叩く音、羽男の中で全ての音が次第に小さくなっていく。
羽男はこの案件を諦めると言い出した。
一瞬見ただけで覚えられる『フォトグラフィックメモリー』という能力ゆえ、羽男は高卒ながら司法試験も一発合格。
しかし、請け負う案件は失敗だらけだった。
決められた予定が崩れる不測の事態への対応できず、途端にフリーズしてしまうのだ。
そんな羽男の記憶力をヒントに、石子は店長が資金繰りに困っていることを一人で調べ上げていた。
請求を考え直すならば、相談に乗るという提案を思いつく。
石子がパラリーガルとしてできる最大限のことを尽くし、弁護士の羽男が膨大な知識量で提案を行う。
互いの足りない部分を補い合って解決まで導く、二人の掛け合いの演出が光っていた。
これで一件落着かと思ったが、羽男は大庭が務める整備工場の本社・カーキャプテンの支店が、カフェの目の前にあることに気がつく。
「本当の狙いは、別にあるんじゃないですか?」
羽男はこう切り出し、大庭は初めの訴えの奥に隠された問題を二人に話す。
大庭は元々は本社で働いていたが、支店長(丸山智己)によるパワハラを超えた、職場いじめが行われていた。
大庭は仕事を押し付けられ、連日の叱責や物理的被害も受けていた。
そして同僚の沢村(小関裕太)が業務を助けたことをきっかけに、その標的は沢村に向かった。
いじめを目撃した大庭が会社に告発するも、いじめと判断されずに大庭はそのまま左遷されてしまったのだ。
未だに会社でのいじめが指導の一環やただのパワハラだとされ、いじめと認められず根本的な解決がなされないことも多い。
しかし、侮辱罪、名誉毀損、強要罪、暴行罪…いじめはれっきとした犯罪である。
「いじめは法律で裁かれるべきです」
ここでまたはっきりと名言してくれたことに、大きな意味を感じた。
二転三転とする展開に引き込まれる
調査を進めていた石子達だったが、社員からパワハラをしていたのは大庭だと聞かされる。
暴言を含めたプレッシャーを与えるパワハラメールの送信者は大庭で間違いないようだった。
話が二転三転とする展開が視聴者を、様々な人の思惑に踊らされる石子達と同じような感覚にさせてくれる。
しかし、この依頼が本当に復讐ならば、危険な橋を渡りたくない羽男にとってはやっかいな展開だった。
だが、今救いを求める人を見捨てるわけにはいかない。
羽男は大庭が撮影してきた動画を一人眺め、ついに解決の糸口を見つけ出した。
羽男が大庭に真相を確認すると、沢村が支店長に脅され、退席した隙にパワハラメールを書き込んだようだった。
そして大庭が本支店のヘルプに入る日に、計画性に長けた羽男は考えた作戦を実行する。
沢村が録音していたボイスレコーダーを証拠として提出すれば上手く行く。そう思っていたが、沢村は様々な圧に負け、決断しかねていた。
予想外。計画が崩れてしまった羽男はまたフリーズしてしまう。そしてバトンを貰って前へ出たのは石子だ。
「なぜ、声を上げないんですか?」
石子のこの言葉が重く響く。誰しも声を上げることが情けないと感じてしまう。
自分よりも大きな存在を動かすことなど、自分にはできないし、誰かに頼ったところで現状が変わるとは考えられないのだ。
弁護士に相談するのは最終手段でしかない。だが、石子はこう続け、私たちに大切な法律への向き合い方を教えてくれた。
「声を上げていただかなければ、お手伝いできません。ぜひ法律を上手に活用し、幸せに暮らしていただければと存じます」
まず声を上げなければ、自分の人生を守るために皆に平等にある法律が意味をなさない。
人間関係を円滑にするためのルールを活用することは、何も間違っていないのだ。
そして、沢村はその再生ボタンを押すのだ。いつも近くにある法律というセーフティーネット、そして近くにいる大切な仲間である大庭を信じて。
夕日の裏で二人を映すカットに言葉はなかった。声を上げる大事さを描いた後だからこそ、言葉は必要ない確かな友情が形として際立っていたように思う。
ただ『おもしろい』だけで終わらせない魅力がある『石子と羽男』
『そんなコトで訴えます?』がサブタイトルの今作。
だが、どんなに些細なトラブルでも、その裏にある大切な生活を、そして心を守るために声をあげても良いのだ。
美味しいお酒を飲んで、夜風にあたる…なんていう、何気ない毎日の幸せを守るためにある法律を使うことへのハードルを下げてくれた初回。
そして、羽男が支店長に対しても「あなたはあなたで声を上げればいいじゃないですか」と伝えていたのが、どんな人にも平等に、法に守られる権利があることを強調していたのがさらに素敵だった。
お互いの足りない所を上手く補い合う『石羽コンビ』と大庭を新たに仲間に加えた『潮法律事務所』が、ついに動き出した。
人々の小さな問題から始まり、様々な視点で現代社会の問題へ切り込んでいく物語に期待が高まるばかりだ。
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『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』/TBS系で毎週金曜・夜10時~放送
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[文・構成/grape編集部]